究極の和服アニメ。帯の位置が低い!!

蟲師 二十六譚 Blu-ray BOX

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 ハートキャッチプリキュアがあまりにも素晴らしすぎるので、馬越嘉彦繋がりで久しぶりに全話通して観てみた。
 うーん、何度観ても大傑作だ。正直原作はピンとこないんだけど、アニメ版は本当に素晴らしい。
 蟲師で素晴らしいのは、和服の作画がリアル、という点。時代背景は髪型や主人公・ギンコの洋装から察するに明治時代辺りをイメージしてると思うんだけど、登場人物の大半が和服を着用している。そしてこれは凄いことなんだけど、ちゃんと洋服の人間は洋服の、和服の人間は和服の立ち居振る舞いになっている。
 あと、地味に重要なこととしては男女ともに帯の位置が低い。
 洋服のベルトはズボン・スカートがずり落ちるのを防ぐために巻く物なので、基本的に腰に巻く。それに対して和服はワンピースの一種なので、ずり落ちるのを防ぐためでなくて着崩れを防ぐために巻く。そして、基本的に男物は腰骨のやや下、女物は腰骨よりも高いところに帯の中心が来るように巻く。男物で高い位置に帯を巻くと、非常にダサく見える(通称バカボン結び)*1
 でも最近、ファッション雑誌や時代劇などで帯の位置が高過ぎる気がする。昔の白黒映画なんかを観ると、今よりもかなり低い位置に、ざっくりと締めているので、近年の傾向だと思う。成人式など晴れ着の場合、足を長く見せるためか帯を高い位置に巻くことが多いけど、年々日常着としての和服文化が失われているからか、浴衣や紬などでもやたら高い位置に巻いているのをよく見かける。着付ける人も普段から和服をほとんど着ないので、晴れ着と同じ感覚で着付けてしまうのだろう。端から見ると、なんとも窮屈な感じがするし、実際に動きづらいと思う。それに何よりも普段着で高い位置に巻くのはダサい(と個人的には思う)*2。女物ならまだ良いけど、男で高い位置(洋服のベルトと同じ高さ)に巻いているのを見ると可哀相にすらなる。基本的に、帯は身のこなしが一番楽になるような高さに、苦しくない程度のきつさで締めるのが普通だと思う。
 そして、実写の写真や映画を参考にすることが多いためか、漫画やアニメでも近年帯の位置が総じて高いことが多い。例えば銀魂には和服のキャラがたくさん出てくるけど、帯の位置が高すぎると思う。
 んで、話を元に戻すけど、蟲師の場合その帯の位置が低い。襟元とかもだらんとしていて、もの凄く「普段着」っぽさが出てる。身のこなしが凄く楽そうで、蟲師のノスタルジックな雰囲気作りに一役買っていると思う。全体として、その辺の作画を統一するのは大変だったろう。その辺の和服描写をぼうっと観ているだけでも嬉しくなる。
 そういえば、「空の境界」でも式の帯の位置は結構低くて、やっぱり普段着っぽさが出てた。アニメで和服のリアル感を出すコツは帯の高さなのかもしれない。

*1:男物だと、体の中心よりも低い位置に巻くのが粋に着こなすコツ、だと思う。

*2:昔の日本人は背が低く足も短かったので、あえて高い位置に巻いて腰高に見せこともあったのだろうが、戦後日本人の体型は著しく欧米化しているので、帯の高さも低くした方がいいと思うのだが、どうだろうか