夏を和服で涼しく過ごすにはちょっとコツが必要

 北陸に続いて東北も梅雨明けして、本州全土が本格的な盛夏に入りました。
 今日は加賀・能登ともに最高気温が32℃を越え、小松などは猛暑日も視野に入っています。
 毎年この時期に「和服って暑くないですか?」と聞かれることがあります。どうも最近流行の作務衣などと比べると肌の露出が少なく、暑く見えることもあるようです。さらに、「浴衣 暑い」などで検索すると、「浴衣は涼しくない。(洋服よりも)暑い」というような意見も散見されます。
 特に若い人を中心に、昨今の和服への回顧ブームもあって「浴衣は暑い」というイメージが広がりつつあるようです。一方では浴衣には「夏を涼しく過ごす」というイメージもあります。では、和服は涼しいのでしょうか?暑いのでしょうか?
 これは個人的な意見ですが、ちゃんと着こなせば絶対に洋服よりも涼しいです。和服で涼しく過ごすにはちょっとしたコツがあるのですが、決して難しいものではありません。その辺のコツを紹介したいと思います。

化学繊維は避ける

 ここ数年、量販店で吊しの格安浴衣をよく見かけます。そして、花火大会などでそういった格安浴衣を暑そうに着ている女の子を多数見かけます。格安浴衣はの生地は、ポリエステルとの合繊が多いようです。真夏に化学繊維の使われた下着やTシャツを着ると、吸汗性が悪くべっとりと張り付きます。和服でもそれは同じ。初夏や秋祭りならともかく、盛夏に化学繊維の和服は絶対にオススメしません。
 薄手の木綿か麻なら吸汗性も良く、汗をかいても肌に張り付くこともないので快適です。個人的には、この時期は小千谷ちぢみを愛用しています。また、帯もできれば夏用のものがよいです。私は袴を着用するときは麻の角帯、着流しの時は薄い絹の兵児帯を使用しています。

できれば自分用に仕立てたものを。帯はあっさりと緩く締める

 できれば吊しではなくて自分の身体に本当にあったものを着ましょう。自分用に仕立てたものは、多少着崩しても型崩れしませんし、補正も最低限で済むので非常に涼しく着こなすことが出来ます。また、これに関連しますが帯は緩めに締めましょう。きつく締めるとそこだけ汗をかいて肌触りが気持ち悪くなります。そして、帯を緩くしても着崩れないようにちゃんと自分の身体にあったものを着るようにしましょう。

最後は気分の問題

 全てきちんとしても、やっぱり暑いときは暑いです。はっきり言って、裸でいても暑いような真夏日に、和服を着たからといって涼しくなるはずはないのです。ただ、洋服よりは多少は涼しく過ごせます、という程度のものです。
 ただ、和服の利点として、「きちんと着こなすと涼しげに見える」というのがあると思います。きちんと夏物を着こなし、あとは気分で乗り切りましょう。
 
 今日の私は白に十字絣の小千谷ちぢみに麻の角帯、絽のグレー馬乗り袴です。部屋の気温は31度ほどですが、風さえ吹けば充分に涼しいですよ。