何度観てもどこがいいのか分からない

サマーウォーズ [Blu-ray]

サマーウォーズ [Blu-ray]

 レンタルで再視聴。
 「時をかける少女」を遙かに超える大ヒットを記録した今作だけど、やはりどこがどう面白いのかさっぱり分からない。いや、この作品が好きな人がどこをどう面白がっているのかはなんとなく分かるんだけどね。
 かつての自作のプロットをそのまま流用していることには目を瞑るとして、やっぱり、パーツが散らかりすぎてまとまりに欠ける気がする。その散らかり具合も含めて、田舎の親戚づきあいをリアルに描いた、と言ってしまうことも出来ると思うけど、エンターテイメントとしてはマイナスだと思う。
 最後に夏希が花札で決着を付けちゃうのってどうなんでしょう?この映画って前半から中盤に描けて、戦争から女性が完全に排除されてるんだよね。女性陣はおばあちゃんを除いて完全に家事に勤しんでいて、サイバー戦争には全く参戦していない。佳主馬を女の子にしなかったのだって、女を戦争から排除するためだろうし。中盤までは「男はいざとなったら体を張って女子供をまもる」っていう、非常に前時代的でマッチョな映画なんだけど、最後の決着は夏希に付けさせてしまう。その辺が、テーマのまとまりに欠ける、と感じてしまう最大要因なんだろうなあ。あと、「時かけ」でもそうだけど、『感情的で思慮に欠ける女性陣と理知的な男性陣』という構図になっている(ように見えてしまう)のはどうなんだろうね。細田監督が非常に保守的な感覚の持ち主で、それに共感する人がこれだけいるということは、やっぱり今の日本人にそういう「古き良き日本」への憧れが大いにあるんだろうね。私自身はさっぱり無いんだけど。

 しかしまあ、実家を思い出させる映画だ。最初に主人公が夏希の実家にやってきて、親戚とテーブルを囲む場面なんて、本当に実家に帰ったような気分になる。あの馴れ馴れしさというか、とにかく一緒に酒を飲んでしまえば友達、的な空気は田舎独特だよなあ。いつかも書いたけど、私の実家ではまだ104歳になる曾祖母が健在。本家筋の従兄弟だけでも50人以上、各々の配偶者やもう少し遠縁まで含めると100人を超える親戚づきあいがある。去年は兄の結婚式があったんだけど、農家の長男の結婚式、というやつは本当にアレです・・・。次男でよかった。
 近年はそうでもなくなったけど、私が小さいときなどはお盆や正月はひっきりなしにお客がやってきて、母などは非常に忙しそうにしていた。サマー・ウォーズの親戚づきあい描写は非常にリアルだよなあ。ああいう大家族&親戚づきあいに憧れる人も多いみたいだけど、はっきり言ってそんなに良いモンじゃあないですよ。