「花咲くいろは」の金沢弁が素晴らしい
まず、今までは花咲くいろはは木曜日にテレ金で観ていたのだけれど、今回はいてもたってもいられず、ダウンロード違法となった今では完全にブラックな手段で鑑賞してしまったことをここに懺悔しておきます。
というわけで、金沢弁について。
私が初めて金沢弁に触れたのは大学受験の時でした。
実は、センターに躓いてランクを落としての受験だったために、かなり受験そのものをなめていて、試験は二日しかないのに四泊五日で金沢入り。しかも大半の受験生が空港や駅の近くのホテルに宿を取るのに対し、私は試験会場からかなり離れた、ちょっとした温泉旅館に宿を取りました。その時も、旅行代理店などではなく、金沢市の観光協会を通じて宿を取る、という感じだったと記憶しています。受験直前だというのに金沢観光を堪能しました。兼六園、金沢城公園*1、夜は新天地を飲み歩きました。*2その観光の中で出会ったのが金沢弁でした。
当時の私は完全に栃木弁だったのですが、街で耳にする金沢弁の美しさにびっくりしました。関西系のイントネーションながら、ゆったりとしたリズムで語られる人々の言葉に、「この言葉が交わされるこの街で暮らしたい」と感じ、その時初めて受験に対するモチベーションが沸いてきたのを今でも覚えています。
金沢の人々は、自分の言葉を語尾が濁音系で汚い、と感じているようですが*3、全然そんなことは無いと思います。
実は、金沢弁といっても地域によってかなり差があります。海・山・河と地形の起伏に富んだ石川県は、10キロも移動すると微妙にイントネーションが変化していきます。
個人的な実感で詳しく調べたわけでは無いのですが、例えば金沢城から西に向かっていく場合、犀川を越えて有松の辺りでもう微妙に変化が現れ、白山市までいくと明確にイントネーションが変わります。さらに手取川を越えるともう完全に言葉が変わってきます。県外の人は驚くかもしれませんが、石川県では七尾弁と金沢弁と小松弁で、明確な違いがあります。さらに、奥能登にいたっては港によって言葉が違っていたりもします。
今回、花咲くいろはで巴さんが話していた金沢弁は金沢中心部で話されている本当の(この言い方は少しおかしいけど)金沢弁でした。一人称が「うち」なのもいかにもあの年代の娘さん風*4で凄くリアル。「そうねん(↑)」のように、語尾が微妙に尻上がりな所とか、確かな金沢弁だ。金沢出身で金沢弁のネイティブ・スピーカーである能登麻美子ならでは、といったところだと思います。近年核家族化が進み、標準語と関西弁からの文化侵略を受けて日々失われつつある金沢弁が、短いシーンとはいえ映像作品として世に出て残る、という事は非常に有意義なことだと思いました。
あと、巴さんが食べていた和菓子が全て県内の名店の和菓子だったのが嬉しかった。おだまきは本当に美味しいですよ。中能登地区オススメの名物です。
後は、室生犀星も生涯愛し、わざわざ取り寄せていたといわれている森八の落雁「長生殿」は絶品。金沢の至る所で購入することが出来ますが、是非尾張町にある本店で買いましょう。