百万石祭に思う

 今日、たまたま金沢に行く用事があったので百万石祭を観てきた。
 はっきり言って、金沢に住んでいた10年間、そして今も私は百万石祭が大嫌いである。みっともないし、情けない祭だ。文化の香りも、古都の誇りも感じない、精神的にさもしい祭であると言って良いと思う。
 金沢はかつては金沢御坊(現金沢城跡)を中心とした宗教都市で、その後一向一揆衆を虐殺した後に短期間で人為的に作り上げた官僚都市という側面を持つ。なので、京都や高山などの古都にあるような祭礼・神事などに乏しく目立った『お祭り』が存在しない。
 というわけで、わざわざ観光(=ゼニ)のために力尽くで盛り上げようとしているのが百万石まつりなんだけど、どうも観ていて寒いお祭りだ。
 武者行列は明らかに安っぽくて見るに耐えないし、歩行者天国を占拠して行われる踊りの数々も、とってつけたような盆踊りやよさこいなど余所からの借り物ばかりで観ていて気持ち悪い。
 特にここ数年北國新聞社が北陸で盛り上げようと画策しているよさこいだが、本州経由の伝統文化に乏しい北海道などの開拓地が取り入れるならまだしも、金沢や輪島・七尾などを抱える石川県があそこまで『よそさまのお祭り』に力を入れる意味が分からない。はっきり言ってみっともないから止めた方がいいよ。石川県には独特の、もっと良い文化や伝統がいくらでもあるじゃないですか。
 金沢は『金沢』というがけで、独特の素晴らしい価値があると思う。「武家社会であったために大規模な祭礼が無い」というのであれば、その歴史を誇りに思うべきだし、目先の派手さにとらわれてあれこれ騒ぎ立てるなんてもってのほかだと思う。「無い」という歴史を誇りに思い大事にするのって、やっぱり駄目なんですかね?みんなそんなにお金が欲しいのかなあ。