久しぶりに感じる木綿の身軽さ

 能登では四月に入っても2月下旬並みの寒い陽気が続いていたのですが、ここ数日で一気に暖かくなったので、今日ついに本格的な衣替えをしました。
 冬の間お世話になった紬の袷を、ほつれは修繕して、風呂場で手洗いして乾かし箪笥へ。代わりに木綿の単衣を引っ張り出しました。袴は盛夏以外ほぼオールシーズン木綿袴なのでそのまま。あとは着ながし用に兵児帯を数本。まあ、男性和装者の衣替えはそんな感じです。
 和服を着るようになって、季節のメリハリがぐっとはっきりしたように思います。基本的に和服は袷と単衣、あとはウール・麻・木綿・絹というように、形状と材質にある種の「型」のような物があります。
 私の場合ですが、冬場の羽織と長着はウールの単衣か紬の袷、襦袢はモスリン(ウールの一種)か木綿の袷を着ています。基本的にそれらの組み合わせによって寒暖を調節します。そして、それを一気に木綿、正絹の単衣に衣替えするのです。
 これは非常に不思議なもので、冬の入り口、11月に模様替えした直後は非常に頼もしく感じていた紬の袷が、気温の如何にかかわらず3月には重たく感じるようになってきます。それが我慢できなくなったら、とうとう衣替えの時機の到来です。
 そして、今日久しぶりに袖を通す木綿の気軽さと言ったら!
 感性と実際の季節の移ろいが非常に近いところにある、それが和服の良いところだと思います。

 余談ですが、これは梅雨明けには麻と浴衣に、九月下旬には木綿に戻り、11月下旬に再び紬の袷をひっぱり出します。このように、和服の1年は廻っていくのです。