true tears イベント

 たった今、城端から帰ってきた。イベントは大成功だったんじゃあないでしょうか。
 以下、忘れないうちにメモ。
 まず、十時半からゲストが選んだベストエピソードを上映。ちなみに、入場の際、転売防止のための住所確認は結構きちんと行っていた。また、受付をなされていた、おそらくじょうはな座や観光協会の女性職員だと思うのですが、着物姿がなかなかにキュート。やっぱり城端には和服が似合う。ちなみに私は先日きよべ呉服店で購入したクリーム色に十字絣の小千谷ちぢみ、麻の襦袢に水色の半襟、茶色の角帯、グレーに黒縞の正絹袴。観劇や催し物に参加する際の準礼装。ただ、外では湿気で汗だく、じょうはな座の中では麻二枚では冷房に勝てず寒い、という中途半端な格好は失敗だったか。薄物の羽織かなにか、持参すれば良かった。また、さすがに男の和服姿は私一人だったので、下手をしたらじょうはな座関係者だと思われていたのではないだろうか。
 1話を選んだのはシリーズ構成の岡田磨里さん。具体的なプロットもまだ完全にできあがっていなかったが、西村監督曰く「一転突破、全面展開」を期待されてのシリーズ構成・1話脚本だったとのこと。*1
 こうして見返すと、確かにその狙いはかなりのレベルで成功しているように思える。また、大きなスクリーンに耐えうる映像だったことを再認識。普段ホームシアターでアニメを観ているのだが、テレビアニメは往々にして大きなスクリーンに耐えられないことが多い。そもそも大型スクリーンで鑑賞することを前提としていないので、画面が大きいと情報密度が薄れ、作画の乱れや演出のちぐはぐさが目立つことが多い。最近だと、「かんなぎ」がスクリーンで観た時に物足りなく、残念な出来だった。また、true tears はレンタル屋で借りたDVDでしか鑑賞していないのだが、今日の上映会の映像がかなり綺麗で、DVDとは別物に感じた。*2地上波デジタルでの放送はハイビジョン放送で為されたはずなので、放送用のソースを借りてきたのだろうか。音声は残念ながらステレオ2チャンネル。もしかしたら、水面下でBlu-rayDVDの企画が動いていて、フルハイビジョン+5.1ch で視聴できるのでは、と淡い期待を持っていたんだけど、その辺は期待はずれでした。
 続いてヒロインの一人、湯浅比呂美役の名塚香織さんが選んだ六話。自分で真一郎に一方的に告げておきながら、「言っちゃった・・・」と涙ぐんで言う比呂美に「比呂美すげー。すげー女だ」と演じながら感じていたそうな。そして、この遣り取りを切っ掛けに役にはまり込むことが出来た、とも言っていた。
 石動乃絵役の高垣彩陽さんは七話を選択。真一郎が乃絵と取り敢えず付き合うことになる、前半の山場。台本を濡らしてしまって、へろへろになった本でアフレコしたそうな。4話あたりから役が掴めてきて、七話の鶏小屋の前での遣り取りで自然とあの声が出た、というような発言が興味深かった。なんかガラスの仮面みたい。
 続いて、西村純二監督が選んだ10話。スタッフも含めみんな名塚さんがこの話を選ぶと思っていたら、6話を選んだので監督としてチョイスしたとのこと。ちなみに脚本家西村ジュンジとしては9話を選びたかったという。まあ、12話と並んで終盤最も作画・演出の盛り上がる話なので、妥当なチョイスか。この話のあたりで比呂美と真一郎の関係の完全修復、比呂美と純の決別が描かれるんだけど、通してみると比呂美が一貫して純を迷惑そうにしか扱っていないのがスゲー。あんた、凄い女だよ。失う物がない女はかくも強い物なのか。
 安藤愛子役の井口裕香さんが選んだのは11話。10話に引き続き、真一郎との別れと三代吉との関係回復がほのめかされる貴重なエピソード。確かに残り2話は完全に乃絵と比呂美の決着になってしまうので、愛子にとっては最後の見せ場といっても過言ではないエピソード。監督には中盤以降「三代吉はどうなりますか?」「愛子と三代吉は大丈夫ですよね?」といったプレッシャーが加わっていたそうな。というか、中盤のアフレコ時点でまだ最後の方の話を作っていたのか?ちなみに監督は最初三代吉の名前を忘れていて、三代吉大好きの井口さんに怒られていた。
 この後、いったんお昼休憩。じょうはな座特製弁当はとても美味しかったです。というか、一体どこまで我々をもてなせば気が済むんだ、このイベント。
 最後は永谷プロデューサーが選んだ最終話。個人的には作画・演出最大の見せ所であると同時に曳山祭り、麦端踊りが披露される12話を大型スクリーンで観たかったんだけど、まあ仕方ないかな。乃絵の涙の行方など、V編(尺をテレビに合わせるための最終的なビデオ編集のこと)の最中もスタッフみんなであーだこーだ言っていたらしい。その美しいラストはみなさんご存じの通り。
 こうして見返して思ったのは、やっぱり面白いよ、このアニメ。70年代から80年代の邦画が大好きな私にはまさしくど真ん中ストライクの作品だった。うーん、DVDがやっぱり欲しい、やっぱり欲しいけど、Blu-rayDVDまで待つ!それにしても比呂美はこわい女だな、好きだけど。
 好きよ好きよと鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす。
 そしてこの後トークがあって、その内容は上に書いたとおり。上で書いた以外では、主人公・真一郎役の石井真さんと監督が立て続けに「原作はどうでも良い」発言に大爆笑。あと、岡田さんは凄い頭が良さそうな人で、たびたび監督をフォローしていた。そして、トークをいったん中断して、eufoniusのミニコンサート。実はeufoniusが二人組な事すら知りませんでした。いやはや。当たり前だけど、CDと同じ声で驚く。「そのままの僕で」は絵コンテで尺が指定されていて、まさに10話のためだけに作られた曲だそうな。かっちりとその尺の中で曲を作るeufoniusも、その曲に完全に合わせてアニメを作るアニメーターも、正にプロの仕事。1番しかないのも、2番をCD収録に合わせて作ろうとしたが、作品あっての曲なのであえて作らなかったとのこと。
 コンサートの後、なんと、南砺市長からこの作品、および作品に関わった皆さんを「南砺観光大使」に任命するというサプライズ発表。まさかのお偉いさんの登場に、客席も沸き立つ。
 その後、去年の南砺市水害のビデオが流れてチャリティーオークションへ。出品されたのはサイン入りドラマCD、サイン入りタペストリー、そしてなんとキャラデザ・総作画監督関口可奈味さんによる直筆カラーイラスト。イラストはヒロイン三人分に、それぞれの担当声優のサイン入り。
 オークションは、大人の理由から上限価格を決めて、最後はじゃんけん。CDとタペストリーは五千円で、それぞれ数十人が声優さんと一斉にじゃんけん。直筆カラーイラストの方はなんと十万円でも候補者がちらほらいて、それぞれじゃんけん。ちなみに愛ちゃんと乃絵のイラストは同じ人が落札。なんかスゲー。色紙って二号から三号程度の大きさだから、一号あたり約四万円程度か。まあ、関口可奈味さんのキャリアとイラストのクオリティとレアリティを考えれば、絵画の値段として妥当かな。
 そして、「あぶらむしの歌」の大合唱やトークの後半を経て(すいません、この辺疲れてしまって記憶が曖昧です)、最後の挨拶。監督が、「俺の演出に興味があったら、○○tubeでZENKIのOVAを観て欲しい。true tears と同じ事をやっている。新しいことをやろうと思ってたのに、大昔の仕事で同じ事をやっていて、ショックだった」というようなことを言っていた。ちょっと後で観てみようと思う。ちなみに視点を変えて同じ場面を繰り返す、終盤のハーモニー止め絵、はスタッフ間でも不評だったようです。個人的には面白いと思うんだけど、まあtrue tears では少し滑っていたかなあ。
 最後は、P.A.Worksの最新作「CANAAN」の1話上映。うーん、OPやラストのアクションは素晴らしいんだけど、なぜか退屈。もの凄い枚数を使っているんだけど、眠りそうだった。掴みも悪くないし、続きは少し気になるし、だけどちっとも面白くない*3、という不思議な作品。2話以降面白くなるのかなあ。当然のように北陸では放送されないので、DVDが出たら観てみようかなあ。
 以上、イベントメモでした。

*1:「一転突破、全面展開」は声優陣はおろか、客席や岡田さんにも通じていませんでしたよ、監督。ちなみにこれは学生運動の有名なスローガン。さすがに世代が違いすぎるか。

*2:DVD程度の解像度だと、100インチでもかなり絵が荒くなる。最初はDVDをアブコン機能のあるプレーヤーで再生してるのかな、と思ったんだけど、それにしては350インチの大スクリーンでもかなり高精細な絵に感じた。

*3:けど、つまらないわけでもない。若い人だったらあの刺激的な画面作りに感動するんだろうけど、この歳になってしまうとそれだけではちょっと物足りない。