「マジック・マイク」


イオンシネマ金沢(旧ワーナーマイカル金沢)で鑑賞。

80点。良い映画でした。

ソダーバーグ最新作。男性ストリップショーを舞台に、人生の岐路に立たされた男の生きざまを描く。
粗筋を簡単に書くと、地方都市の場末のストリップショーパブで看板ダンサーとして働くマイクが、「そろそろ俺も固い仕事に就いた方が良いのかな」と悩むお話。
マイクの悩みというのは、将来が不安定な若者にとっては非常に胸に染みるものだし、随所に垣間見られる格差社会(クレジットのランクが低いと収入があってもローンが組めない)も今や日米共通の社会問題。ということで、男性ストリップショーという非常に特異な世界を描きつつも、テーマ自体は非常に普遍的。老若男女問わず、マイクには感情移入できると思う。

何よりもステージのシーンが良かった!
マイクの弟分で、新人ダンサーのアダムの、若さだけでなんとか乗り切ったデビューステージ⇒基礎練習も板についてきたころのセカンドステージ⇒満を持してのマイクのステージ
と、段階を追って見せてくれるお陰で、「男性ストリップショーがどういうものなのか」「マイクのストリッパーとしての技量の高さ」などがすんなりと飲み込める。
これを説明ゼリフ無しで物凄く自然にやってるんですよ。これぞ、ファインプレーに見えないファインプレー。ソダーバーグはやっぱり巧いなあ、と思いました。


以下ネタバレあり






そして、途中アダムがドラッグにハマって身を崩しそうになったり(すんでの所でマイクが借金を肩代わりして事なきを得る)、アダムの姉と良い感じになったりして、最後はアダムとの世代交代とストリップからの卒業が描かれる爽やかなラスト。
と、非常に良い映画なんですが、このラストがちょっと引っ掛かってしまってねえ・・・。
要するに、「男には引き際というものがあって、引くことも決断。そして、一つの世界から身を引いた後も長い人生があるのだ。まあ、前向きに活きて行こうぜ」ということが言いたい映画なわけだけどさ。
俺はやっぱり「レスラー」のミッキー・ロークみたいな「なんだかんだでリングに戻ってきちまう男」とか、「桐島」のキャプテンみたいな「いつまでもドラフトを待ってる男」の方が好みなんだよね。
いやさ、マイクと同じように28で大学院から身を引いて、漁師とは言え会社員という職業についた俺が言うのもあれだけど、映画の中でくらい諦めの悪いバカな男を観ていたいじゃない?

というわけで、マッチョな男たちが演じる正統派青春ドラマ。
俺はラストに引っ掛かってしまったけど、誰が観ても何かを感じることができると思います。オススメ。