「アフロ田中」

85点

 結論から言いますと、ものすんごい好きなタイプの映画でした。
 人気コミック原作。アフロヘアの青年田中広、不器用な彼の不器用な日常を描いたギャグマンガが原作。

 なんかね、田中青年にもの凄く感情移入してしまって、ラスト30分は涙が止まりませんでした、ああ、止まりませんでしたとも。
 全編にわたって、不器用な青年・田中の不器用な青春を描いている。原作でもそうだけど、彼の本質というのは不貞不貞しさの影に隠れた繊細さなんですよね。脚本がそれをもの凄くきちんと汲み取っているし、何よりも主演の松田翔太がちゃんとそういう演技をしている。いやあ、個人的にもの凄く好きなんですよ、松田翔太。上の世代の人には怒られるかもしれないけど、父親の松田優作よりも好きです、ほんとに。

 以下、この映画で好きだった点。
・田中の女生との距離感と誠実さが素晴らしくリアル。
 合コンで良い感じになった女性にメールを出すときに、「合コンは楽しかったですね」といったん書いてから、「でも俺は楽しくなかったしなあ」と考え込んでしまうところとか最高!草食系男子は、別に女性にたいして消極的なわけでは無いんですよ。男とか女とか以前に、他人といるよりも1人でいる方が好きなだけなんです。そこにセックスやジェンダーはあまり関係無い。単に思想的に先進的なだけなんです。

・高校時代の旧友が素晴らしい
 特に、サイタマノラッパーシリーズでお馴染み、駒木根隆介演じる井上の存在感が特に良い!相変わらず良い存在感。もっとメジャーになるべき役者だと思う。

・ラスト
 「オンナの尻を追いかけるよりも男友達とだべっている方が楽しい」、という我々にとっては当たり前すぎる結論。このラストをもって、童貞映画として個人的には殿堂入りしました。

 いやあ、本当に素晴らしい映画体験でございました。松居大悟監督は商業映画初監督(テレビドラマ、自主制作映画での監督経験は有り)だそうです。遅ればせながら、私も今後はチェックさせていただきます。

 本当に本当にオススメ。