静岡茶は概ね安全

 基準値を超える放射性物質が含まれることが報道された静岡茶ですが、すかさず知事が「飲用には問題ない」と発言して物議を醸しています。世間では、概ね知事を批判するコメントばかりだけど、個人的にはそういった人々にはちょっとうんざり。みんな、電卓くらい叩こうよ。そして、電卓を叩くことすらできないくらい「数字が読めない」のなら、少なくとも世間に対して口を噤むくらいの謙虚さは持ってくれ、頼むから。

 今回、静岡茶から検出された放射性物質は約1000ベクレル/kgの放射性セシウム。日本の暫定基準値は500ベクレル/kgなので、約2倍にあたる。
 そして、これがどれくらいの放射能なのかというと、

 かなり濃いめの茶を煎れるとして、1リットルあたり50グラムの茶葉を使うとする。
 分かり易いように、全ての成分がお湯に溶け出すとする。
 すると、1リットルあたりの放射性物質は約50ベクレル/L。ちなみに、これは全ての成分が溶け出した場合で、実際はこれよりも遙かに少ない量であることは容易に推測できる。

 この値は、日本の飲用水ょ通常基準値の10ベクレル/Lは越えているけれど、暫定基準値の300ベクレル/Lよりは少ない、という値。
 そして、このお茶を毎日1リットル飲み続けると、年間被曝量は0.342ミリシーベルト(参考:http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php)。繰り返すけど、この値は茶葉の成分が全て溶け出した場合で、実際の値はもっと少なくなるはず。

 平常時の年間被曝量の基準値は放射線従事者で20ミリシーベルト(緊急時は100ミリシーベルト)なので、この値の約60分の1。一般人で1ミリシーベルトなので約三分の一。当然人間はお茶以外にも様々な食品を摂取するので、これを多いとみるか少ないとみるかは、各自の判断。私は十分少ないと思うけどね。少なくとも、静岡県知事の発言はそんなに的外れな発言ではない。

 さらに、これは100%静岡茶を飲み続ける場合で、九州などの茶とブレンドすればずっと少なくなる。

 何でこんなことを書いたかというと、おそらく今後基準値を超える食品はたくさんたくさん出てくるであろうから。
 そして、それらを全て廃棄していくわけにもいかなくなるであろうから。
 今のところ、放射能による損害は、風評被害含めその全てを国と東電が補償していく、という流れになっている。それらの補償金は全て税金だ。もし、今後農林水産業放射能被害が増えていけば、財源の問題も出てくるであろうし、震災からの復興の足かせにもなるだろう。
 また、間違いなく日本は今後以前よりも貧しい国になる。基準値越えの食品はどんどん廃棄して、安全な食品が国内に無いなら輸入すれば良い、という考えかたにも自ずと限界が出てくるだろう。

 今後必要なのは、数値をきちんと測定して公表していくのを大前提に、それらの数値を吟味して「どこまでが許容できる量なのか」ということをみんなで考えていくことだと思う。