青年期の幻影を悼む

 おそらく私のような現在30歳前後のアニメファンというのは10代のあの頃に、例のロボットアニメのせいで多かれ少なかれ、なにやら奇妙な問題意識をもって、TVアニメから必死にエンターテイメント以外の何かの文脈を見出そうと必死だったと思うんだけど、そんな90年代後半にその凜とした声で颯爽と現れたのが川上とも子さんだったように記憶しています。

 今日、ぼうっとウテナ劇場版を眺めるように鑑賞していたのだけれど、まさに当時の川上とも子でなければ誕生し得なかったキャラクターであり作品であることを改めて実感しました。

 川上とも子といえば、今世紀に入ってから美鈴やロゼット、アンバーといった薄命なキャラやアテナのようなふわふわとしたお姉さんを演じることが多かったけど、まさか本人までもがこのような形で若くして亡くなってしまうとは・・・。

 個人的にはベストオブ川上とも子作品は出粼版Airなんですが、その出粼氏も今年肺がんのため亡くなりました。今しばらくは、見返す気分にはなれないと思います。