今日観た映画

 健康とは言い難いが、なんとか日常復帰。というわけで、公開終了が明日4日に迫った「海炭市叙景」を観てきました。どうしても何カ所か咳が止まらず、周囲の人に迷惑をかけてしまった。どうもすみませんでした。
 あと、シネモンドで急遽3/12から「英国王のスピーチ」が上映です。石川県ではシネモンドとワーナーマイカル・御経塚のみでの上映です(3/4現在)。みんな、石川県でも観れるぞー!

海炭市叙景」9/10点
 シネモンドで鑑賞。
 ただただ感動し、上映終了後もなかなか席を立つことが出来なかった。こういう映画的体験がしたくて、映画館に通うのです。この辺は、大都市圏の映画ファンには絶対にわからないだろうなあ。
 かつて炭鉱と造船で栄えた地方都市、海炭市(モデルは函館市)。炭鉱の火はとうに消え、そしてバブルが弾けた今、造船ドックもまた閉鎖されようとしている。この映画は、ただひたすらに海炭市の人々の生活、それも色々な物に押しつぶされそうな地方の人々の生活を函館の風景と共に映し続ける。造船所をリストラされた兄妹、苦悩する中小企業の若社長、家庭に居場所のないプラネタリウム技師、立ち退きを迫られる老婆、路面電車の運転士と疎遠な息子。彼らの押しつぶされそうな日常が、静かにフィルムに降り積もっていく。映画を観ているうちに、すっかり海炭市の一市民になってしまい、そこに移る情景に故郷のような愛着を感じるに至ってしまう。そして、ラスト元旦に路面電車を巡る一瞬、彼らの(そして私自身も)人生が交差し、そして明日へと延びていく。その余りに感動的で美しい風景に、涙を止めることが出来なかった。-1点の理由は、舞台の年代が不明瞭な点。バブル崩壊によってドック閉鎖、という設定のはずが、携帯を使って、2010年を思わせる物も出てくる。でも本土に渡るときは連絡船だし、その辺がメチャクチャ。原作が書かれた90年代を尊重しつつも現代劇にもしたい、という意思の表れなんだろうけど、ちょっと違和感を感じてしまった。まあ、あと20年したらそれも気にならなくなって、名画として観賞できるんだろうけどね。
 平日のレイトショーだというのに、半分以上埋まった観客たちとこの映画に立ち会えた、それだけで価値ある映画的体験だったと思う。傑作です。オススメ。

「リトルランボーズ」8/10点

 シネモンドで鑑賞。去年から都会では評判だった本作が、ようやく金沢上陸。
 父親がおらず、母親はよく分からない宗教にはまっている11歳の少年ウィル。厳格な教義のもと、一切の娯楽を許されないウィルにとって、唯一の娯楽は聖書に落書きすることだった。彼は、ある日同じ学校に通う同い年のカーターと出会う。そんなカーターの家で、生まれて初めて「ランボー」を観たウィルは大興奮。カーターと二人で「ランボーの息子」なる自主製作映画を作り始める。しかし、『プロデューサー兼監督』であるカーターと、『シナリオライター兼監督』であるウィルの間に製作を巡る溝が生まれ・・・。
 面白かった!なんだろう、大爆笑の連続な中にある、彼らを見守りたいという気持ちと、懐かしい奇妙な気持ち。心が暖かくなる、というのはこういうことを言うのかも知れない。
 といってもただ笑って泣ける青春映画、というだけでは決してなくて、子供らしさとか道徳とか、そういうものに対する示唆も多いに含まれていて、ある意味非常に考えさせられた。
 まだまだ地方都市では随時公開中なので、近くの映画館で公開されるときは是非とも観てみてください。オススメです。