今日観た映画

 今日もインフルエンザ療養中。

「女の子ものがたり」6/10点

 DVDで鑑賞。西原理恵子原作。2009年公開作品。
 なかなかの佳作。愛媛の風景は素晴らしいし、主役三人の役者もはまっている。
 少女達の背景にある男達からの暴力の影、そしてそんな環境の中でもまっすぐ成長していく3人。
 物語は売れないマンガ家である菜都美が回想する、という形で小学校から菜都美が上京する直前までが順を追って断片的に語られる。その課程で、菜都美がスランプに陥っている理由などが明らかになっていく、という構成。ただ、少女時代の菜都美を演じる大後寿々花と、現在を演じる深津絵里が余りにも似ていないので、どうにも時間軸が連続しているように感じられないのだ。もう少し似ている人をあてがうか、メイクや演出でどうにかならなかったものか。
 いろいろと不満点はあるんだけど、3人の掛け合いは微笑ましいし、ラストは感動的だし、なかなかに良い映画だと思います。
 
「扉をたたく人」8/10点

 DVDで鑑賞。2007年公開作品(日本公開は2009年)。
 主人公のウォルターは妻に先立たれて以降、孤独に暮らす大学教授。研究や教育への情熱も失い、ただ日々を過ごしている。そんな彼と、不法滞在の移民カップルとが、ひょんなことから共同生活をすることになって・・・。
 ああ、良い映画だ。9.11以降の政府による厳しすぎる、そしてちょっと的外れな移民政策に対する静な怒りと批判、社会的弱者に対する優しい眼差し。そういった者に満ちあふれた映画。
 孤独な老人(という歳でもないのだが)ウォルターが彼らとのコミュニケーションによってたどたどしくも人間性を再生していく様子。そして、中盤以降一転して壊れはじめる幸せな空気。ラスト、同居人であったシリア系移民タレクが逮捕され強制送還されるとき、彼はついにそれまでの淡々とした態度を180度変え、激しい怒りをぶちまける。ふさぎ込んでいた人生が一人の青年によって変わっていく・・・。一人の中東系移民がウォルターの心の扉をたたいたことで、一人のアメリカ人の人生が変わった。しかし、その青年が再びアメリカの大地を踏むことはない。あの悲劇から数年経った今も、アメリカは世界に対して扉を閉ざし続けている。そんなアメリカに対する痛切なメッセージだ。
 ラストシーン、地下鉄で一人ジャンベ(アフリカの太鼓)をたたくウォルターと、その音さえもかき消していく地下鉄の音。その音がアメリカに届くことはあるのだろうか。