第6話「俺の幼馴染みがこんなに可愛いはずがない」感想

 ニコニコ動画で鑑賞。良い時代になったもんだ。今週はパンティ&ストッキング6話とこれが今まででベスト回。神回とはこういう時に使うべき言葉なのだろう。
 今回は地味子こと真奈実担当回。正直、アニメで麻奈実にここまでスポットが当たることはないと思っていたのでちょっとびっくりした。
 今回は、原作では40ページしかないシーンを30分で作っている。2巻までの600ページを5話で作っていたことを考えると、異例の引き延ばしだ。
 しかしこれは当然のことでもある。
 7巻までを読んで気付いたことだけど、麻奈実は唯一と言って良いほど「外見を褒められていない」キャラクター。主人公である京介からは「地味」「平凡」と評されるし、桐乃に至っては麻奈実と仲良くする京介を「ブス専」と評する始末。しかし、その反面最もその仕草などに対する言及が細かいキャラでもある。例えば今回の原作箇所である3巻から引用する。

 ごまかすように話をそらすと、麻奈実は部屋の時計を見上げて、唇に手を当てた。
 相変わらず綺麗な正座をするやつである。ちょっと見惚れてしまうほどだ。
 顔は十人並みだが、こういったところが好ましいと思う。

                3巻97ページより

 全編にわたって、麻奈実に関しては主にその所作や雰囲気に関する描写が多い。つまり、麻奈実というキャラクターの美点は、その外見などではなくて雰囲気や立ち居振る舞いにあるわけで、その辺をアニメで再現するにはやはり30分という時間が必要だったのだろう。とにかく麻奈実の日常芝居が素晴らしい。緊張しているときとリラックスしているときの正座の描き分け、会話における絶妙な間の取り方。観ていて、麻奈実の魅力がどこにあるのか、実に説得力があるし、主人公が麻奈実のどこに癒しを得ているのか、ひしひしと伝わってくる。ただ、唯一残念だったのは麻奈実役の声優の演技。なんとなく「造っている声」感が鼻についてこの話の空気にそぐわなかった。こういうミスマッチを観てしまうと、大物監督がアニメ声優を使いたがらないのもなんとなく否定できなくなってしまう。
 また、主人公の一人称でこの小説が書かれていることから鑑みるに、原作小説で麻奈実の日常描写が比較的好ましいものとして詳細に描かれると言うことは、「京介はもの凄くよく麻奈実のことを観察していて、麻奈実を好ましく思っている」ということに他ならない。実は、京介がセクシャルな視点で見つめる女性キャラも麻奈実だけだ。この小説およびアニメが多くの点でギャルゲーフォーマットをメタ的に用いた作品なので、京介はほとんど女性キャラを性的な目で語ることはないんだけど麻奈実だけは別。眼鏡っ娘のエロ本を持っていたり、真奈美似のAV女優の出演作を思わず買ってしまったり、麻奈実だけは主人公からのセクシャルな目線に晒されているんだよね。それに、四巻以降とらドラ的な群像劇になって、主人公を取り巻くみんなが成長・変化をしていくんだけど、麻奈実および主人公と麻奈実の関係性だけはほとんど変化しない。京介と麻奈実の関係がほぼ完成された関係だということの証左でもあると思う。
 桐乃や黒猫にとって、主人公を巡る恋愛レースのラスボスは麻奈実だと思うんだけど、こんごどうなるんだろう。前述したように好きなヒロインは黒猫なんだけど、観ていて安心できるカップリングは京介と麻奈実なので、個人的には難しいところ・・。
 まあ、アニメと原作、どちらにも期待したい。