5話。嘘に嘘が重なっていく。

第5話「おせっかいな男の子ってバカみたい」
 2話に続いて、脚本・演出西村純二回。
 もう何度もDVDで鑑賞していて、改めてBlu-rayで観ているんだけど、何度観ても全話通して登場人物の行動原理や行動パターンが一貫していて、シナリオ・演出共に非常にロジカルに作られていることに驚く。アニメは基本的に集団作業で、しかもチェック体制が機能しないくらい過密なスケジュールで作られることがほとんどなので、ここまでキャラの行動にブレがないアニメは本当に貴重だ。
 5話で重要なキーワードは『嘘』。
 眞一郎に大きな嘘をついてしまった比呂美。眞一郎への想いを隠しながら三代吉との関係を続ける愛ちゃん。比呂美の嘘に振り回されつつも、自分の心に嘘をついてまで比呂美のために動こうとする眞一郎。そういった人間関係の嘘を見抜いて眞一郎の懐に飛び込んでいく乃絵。幼馴染みというアドバンテージをそれぞれの理由で失ってしまった比呂美・愛子と、その隙間に確実に入り込んでいく乃絵、今後の展開が読めない。
 演出面では、視聴者はおろか内部スタッフにすら賛否両論だった2回繰り返しシーンが炸裂。眞一郎と比呂美の会話が、それぞれの視点から繰り返されるシーン。個人的には、『比呂美さんがどれだけ怒っているのか』というのが分かり易くなっていて良かったと思うんだけど、どうなんでしょうかね。
 物語は次の6話で前半の山場を迎えるので、その辺が実に楽しみ。
 
 あと、本編には関係ないけど北陸の海がかなりリアルに再現されていて改めてビックリした。
 テトラポットに打ちつけられる波。海風に逆らってホバリングするように飛ぶカモメたち。海のモデルになったのは氷見市で、私が漁師をしている七尾からは車で30分ほどのところなんだけど、能登半島の内浦側の海が本当に正確に再現されている。ちなみに、ああいう風と波の次の日は時化模様になります。富山湾沿岸の方言で、海からの風(北〜北東)のことをあい(あえ)の風と言います。春や秋に特に強く吹き、豊漁と豊作の前兆とも言われますが、同時に強い時化を起こす厄介な風でもあります。アニメを観ていて、「ああ、明日は時化か、やだなあ。」と本気で思ってしまったよ。