4話。愛ちゃんが不憫すぎる・・・

第4話「はい、ぱちぱちってして」

 比呂美の嘘を信じ込んでしまい落ち込む眞一郎を残り二人のヒロインがそれぞれに励まし、それによって人間関係がさらなる混迷を深めていく。
 比呂美は嘘が下手。好きなはずの相手をずっと『4番』と背番号でしか呼んでいないし(おそらくこの時点では純の名前すら知らないのではないか)、あれほど強い目を持った比呂美の視線は明らかに定まっていない。しかし、眞一郎はそんな比呂美の心のSOSを全くキャッチできない(笑)。比呂美には嘘をついてまで眞一郎の心を遠ざけておく理由があるんだけど、眞一郎の母との会話などで徐々にだがその辺も明らかになってきている。
 そして、最も眞一郎の近い位置にいたはずの比呂美が恋愛レースから一時的に退いてしまったことで、急遽チャンスが回ってきた愛ちゃんが動く(笑)。三代吉に内緒で眞一郎をショッピングモールでのデートに誘う。しかし、このデートのシーンがあまりにも酷い(笑)。
 眞一郎は明らかに心非ずという感じだし、何よりも買い物のシーンが酷い。比呂美が普段着ているものによく似たセーターをじっと見つめる眞一郎と、思わずそれを買ってしまう愛ちゃん。愛ちゃんはそのセーターを眞一郎が気に入ったんだと思って買ったんだろうけど、眞一郎はそのセーターの向こうに思い人を見ているだけだった。愛ちゃんの恋の空回りを象徴するシーンであり、不憫すぎて泣けて来る。同じ町内に住んでいるであろう比呂美と愛ちゃんがもし同じようなセーターを着てばったり出会ってしまったら、二人はどんな顔をするのか。想像するだけで背筋が寒くなるシーンだ。
 そしてそんな愛ちゃんとは対照的なのが乃絵。明らかに落ち込む眞一郎を、乃絵は公園に連れ出す。そして公園での遣り取りを経て、眞一郎は比呂美の思い人にはなれなくても比呂美の笑顔を取り戻すことは出来るのでは、という諦観にも似た穏やかな心境に達する。
 比呂美の代わりにもなれない、眞一郎を励ますことも出来ない愛ちゃんと、確実に比呂美とは違った方向で眞一郎の心に入り込んでいく乃絵の残酷なまでの対比。唐変木な眞一郎には、愛ちゃんみたいな「カワイイ愛されキャラ」は全くの逆効果で、乃絵みたいな「不思議ちゃん」や比呂美みたいな「情念の女」でないと駄目、という事がこれでもかと提示されたお話。
 最後は乃絵の兄で、比呂美の片思いの相手(だと眞一郎が思い込んでいる)石動純が眞一郎に爆弾を投げつけて引き。全員があさっての方向を向きつつも、確実に物語が動いていく、という繋ぎの話数にも関わらず、かなりの緊張感を持っていて観ていて本当に胃が痛くなる。