3話。空回りする恋愛模様

3話「どうなった? こないだの話」
 眞一郎のもう一人の幼馴染みで三人目のヒロイン、愛ちゃんが動く話。
 乃絵(好奇心)→比呂美(嫉妬)→愛ちゃん(心配)、という風にヒロイン達が玉突き現象のように動き出す。そして、そんな女の子達の中心にいる眞一郎が鈍感な唐変木なために、少しずつ人間関係が混乱していく。
 サブタイトルは愛ちゃんのセリフ。物語のスタート段階では、愛ちゃんは眞一郎に密かに想いを寄せているけれど、眞一郎と比呂美がお互い惹かれあっていることを知っていて恋愛レースからは一歩引いた位置にいる。それどころか、なし崩し的に眞一郎の親友・三代吉と付き合い、関係が奇妙にぎくしゃくしている眞一郎と比呂美を心配しさえする。
 3話の愛ちゃんは、とにかく全てが空回り。眞一郎へのアドバイスは後に奇妙な考え違いを誘発するし、三代吉との関係も明らかにうまくいっていない。年上の幼馴染みとして既に一歩引いてしまっている愛子と、全く空気を読めない眞一郎、空気が読めたうえで愛子との関係を維持しようとする三代吉。「乃絵→眞一郎⇔(?)比呂美」の三角関係と同じくらい難しいトライアングルに陥ってしまっていて、なんともかんとも重苦しい。
 3話終盤は一転して比呂美がメイン。親友の黒部朋与にしきりに眞一郎について言われ、とっさについた嘘を眞一郎が立ち聞きしてしまう。唐変木な眞一郎は言葉で言われないと気づけないくせに、言われたことには深く考え込んでしまう変に生真面目なやつなので、この嘘を切っ掛けに物語が動き始めることになる。
 しかし、1分程度のシーンだけど、朋与は良いやつだよなあ。比呂美が眞一郎のことが好きなのを普段の態度から見透かしていて、「4番が好き」という比呂美の嘘もおそらく信じていない。それどころか、そんな嘘をついてしまう比呂美を心配するような表情を見せる。私が三代吉だったら、眞一郎という爆弾を抱えた愛ちゃんや面倒くさい比呂美よりも絶対に黒部さんなんだけどなあ。というようなことを以前人に話したら、「女性の外見よりも気配りに心惹かれるようになったらもうおっさんですよ」と後輩に言われてしょんぼりしたことがある。うーん、でも黒部さんは高校生のうちはモテないだろうけど、二十歳過ぎたらいい女になると思うんだけどなあ。