true tearsのBlu-rayを観た。第1話の感想を書くよ。


 先週のうちに受領はしていたんだけど、昨日とりあえず通してみてみた。画質は大満足な出来。Blu-rayで買って本当に良かった。
 とういことで、1日1話ずつ感想を書いていこうと思う。ということで、今日は第1話の感想。
 この作品を楽しむ上で、見逃せないのが監督・西村純二の経歴。アニメ業界に就職後、84年にスタジオディーンに移籍。ビューティフルドリーマーの演出を若干28歳で担当。押井守うる星やつらから離れた後も演出を支え続け、今日に至るまで職業監督を貫いている。また、2004年には押井守監修、Production I.G製作の「風神物語」の監督も務めている。つまり、押井守の流れを受け継ぎつつ、職業監督の側面も持つ希有な存在、ということ。その辺を把握しておくと、ぐっと演出意図が理解しやすくなる。
 久しぶりにこの第1話を観たけど、恋愛物の第1話としてはほぼ完璧な出来映え。これを越える第1話となると、気まぐれオレンジロードの1話くらいしか思い浮かばない。必要最低限のカット数で登場人物達の関係性を完璧に表現している。
 この1話で注目すべきはヒロイン達の初登場シーン。脚本や作画以上にレイアウトで全てを語ろうとする、押井チルドレンとしての西村監督の手腕が炸裂している。
 まず、冒頭での比呂美。廊下に立つ主人公よりも1段低く作られた土間(?)のような場所で帳簿を付けているシーン。影を背負っていて、なおかつあえて一歩引いている、微妙な立場を表現している。
 次に乃絵。木の上で太陽を背にしているのは明らかに天使。主人公にとって、現在を打破してくれそうな明るい存在として描かれている。
 最後に愛ちゃん。ここでは、ビールケースに乗って店の作業をしている。本当は主人公と同じ目線に立ちたいのに、年上として大人として振る舞わなければいけない、というもどかしさを表した名シーンだと思う。
 こんなふうに、随所で台詞でも作画でもなくレイアウトと演出でテーマを語るシーンが随所にあって、本当にムダがない。心の底から感心してしまった。そして、やっぱり押井っぽい。
 あとは、乃絵の声が良い。あの時の高垣彩陽にしか演じられなかった何かを感じさせる。ゼーガペインでの花澤香菜もそうだけど、演技力では計れない声優の魅力、というのを思い知らされる。これだからアニメは面白い。沢城みゆきを持ち上げて水樹奈々をけなしていれば「声優の演技力(失笑)」を語ったつもりでいられると思っているような人間には、この奇蹟の価値は分かるまい*1

*1:そろそろ、「演技の幅」と「演技力」、あと「声の魅力」を分けて批評するくらいはしたらどうでしょうか。個人的に、沢城みゆきをやたら褒める人間と、水樹奈々をやたらけなす人間の声優批評ほど当てにならない物はないと思っています。