うーん、私は遠慮しておきます

リンゴが教えてくれたこと 日経プレミアシリーズ

リンゴが教えてくれたこと 日経プレミアシリーズ

 最近やたらプッシュされている青森のリンゴ農家、木村秋則氏が書いた自伝&リンゴにまつわる新書。
 Amazonでもやたら高評価で、「目から鱗が落ちました」とか「自然の摂理が・・・」とか、なんとも感動的な賞賛が巻き起こっているんだけど、まあ正直なところ私はこういったリンゴは遠慮しておきたい。
 なんというかね、読んでいて思った事は「そりゃあこんだけやればあんたのリンゴは美味いだろうね。ふーんはいはい、凄いでちゅね〜〜」(平野耕太風)。木村氏ほどに苦労を重ねて、リンゴを知り尽くして、さらに妥協を許さず作ればなんだって美味しいですよ。でもね、そこまでしてなんになるんだろう。はっきり言って、スーパーで一個百円そこそこで売ってるリンゴだって、十二分に美味しいでしょ?それでいいじゃないですか。
 いや何も、木村氏の功績にケチを付けるわけじゃないけれど、アマゾンのレビューにあるような「これこそが正しい農業のあり方」と言わんばかりの激賞は、農薬まみれの安かろう悪かろうの輸入リンゴと同じくらい危険だと思うんですよ。そこそこ農薬を使って、そこそこ機械も使う。そこそこ苦労して作る、百円のそこそこ美味しいリンゴじゃだめなんですか?はっきり言って、日本中の農家が木村氏と同じ目線で農業を始めたら、生産性が著しく低下して、日本の食糧事情は大混乱ですぜ。