今んところ今年のベストかな

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている…ような?イラストは『JINKI』シリーズの綱島志朗が担当。「電撃文庫MAGAZINE 増刊」で好評を博したコラボレーション小説が、書き下ろしを加え待望の文庫化!巻末には描き下ろし四コマのほか、設定資料も収録。

 ネット界隈での評判があまりにも高かったので、どんなもんやろ、と読んでみたのですが、いやはや。ガツンとやられました。たしかにこれは傑作かも知れない。
 だいたいエヴァ世代で、SF冬の時代を直接体験し、初期電撃文庫に衝撃を受け、まだくだらないカテゴライズを受ける前のセカイ系に本気で心を痛めていたアラサーオタクである私が、この手のSFに感動しないわけがないのだ。
 なんだろうね。陳腐なのは分かっているけれど、「個人の情念や想いが『世界の形』すらも変えていく」ってシチュエーションに弱いんですよ。本当に。ラスト百ページは、本当に感動しっぱなしで、涙が止まりません。
 読み手は選ぶけど、「ああいうSF」が読みたい人は必ず読んでください。