最近読んだラノベとマンガの感想をだらっと書く

 相変わらず安定して面白い。
 世間では所謂「萌え」の権化として語られがちだけど、きちんと「サイトが異世界で何をして、どう成長するのか」というヒロイックファンタジーと、「ルイズ(要は異世界のお姫様)と騎士との恋愛」という、王道テーマがお話の軸になっていると思うんだよね。
 何度も書くけど、サイトがどこへ行きどこへ帰って行くのか、ゼロ年代行きて帰りし物語として読んでいきたい。

八王国記〈1〉月夜姫 (トクマ・ノベルズEdge)

八王国記〈1〉月夜姫 (トクマ・ノベルズEdge)

 引っ越し前の最後の大掃除をしていたら、積ん読本の山からこぼれ出てきたので思わず読んでしまった。
 六世紀頃の日本と朝鮮半島の歴史をなぞりつつ、耀夜(かぐや)と日月(ひつく)という二人の少年少女が歴史の渦に巻き込まれていく。
 非常に高品質な歴史ファンタジーでございました。三巻まで買ってあるので、ゆっくりと読んでいきたいと思います。

みずいろパーフェクト (ヤングキングコミックスデラックス)

みずいろパーフェクト (ヤングキングコミックスデラックス)

 以前出ていた単行本の愛蔵版。大判で、かつカラーページはそのまま収録されているのでファンなら買い、でしょう。
 大石まさるの、「田舎+美少女」ワールドの最初の金字塔。
 なんでしょうね、読んでいて元気になるマンガ。
 初めて読んだ時は、ラストで愛の告白もせずに旅立ってしまう主人公に不満だったんだけど、こうして十年の時を越えて再読してみると、こっちのほうがなるほど心に染み入る説得力のような物がある。うーん、不思議。

 最近なにかと話題の鉄子*1マンガ。正確には、これは鉄道ファンではなくて女性鉄道員のマンガなので、鉄娘マンガと言った方が正しい。
 「鉄道むすめ」というフィギュアコレクションシリーズのコミカライズで、今回は「銚子電鉄」「三陸鉄道」「広島電鉄」が舞台。この鉄道むすめだけど、三陸鉄道とかはかなり本格的にこのキャラクターを軸にPR・街興しの活動を行っていて、その影響力も侮れないとか。
 内容は、鉄道そのもの以上に、その鉄道を取り巻く地域全体に対する愛着に溢れていて、乗り鉄としては少し嬉しかった。できればこれ一冊ではなくて、全国のローカル線を題材に2巻・3巻と続けて欲しい。

鉄娘な3姉妹 (サンデーGXコミックス)

鉄娘な3姉妹 (サンデーGXコミックス)

 同じ鉄子マンガでも、こちらはかなり鉄分多め。あまりのディープさに、私でも一気に読み終えるのはしんどかった。
 「エイケン」でおっぱい漫画家の地位を不動の物にした松山せいじによる鉄道マンガ。作者の鉄っぷりはぜひ本人のホームページ等で確認してみてください。
 撮り鉄の長女、乗り鉄の次女、模型鉄の三女の三人が、家に寄りつかない父親(超有名鉄道ライター)との邂逅を目指して日本中の鉄道を乗りまくる、という内容。三人が三者三様の鉄子なため、全編もの凄く濃い鉄談義に溢れていて、知らずに手に取った人はご愁傷様。乗り鉄の端くれである私としては、非常に愉快な(でもしんどい)漫画でした。

熱帯少女 (IDコミックス 百合姫コミックス)

熱帯少女 (IDコミックス 百合姫コミックス)

 「blue drop」で百合漫画家としての地位を確立した吉富 昭仁の最新刊。百合姫コミックスということで、お色気控えめの超本格的百合漫画でございました。
 「夏」「田舎」「主要人物のみ登場」という縛りを自らに課したようで、非常にまとまりの良い短編集に仕上がっている。「blue drop」のような破天荒な物語や、読み方によっては深読みも出来るテーマ性も無いけれど、少女たちの一夏の恋物語が丁寧に描かれていて、この夏必読の百合漫画だと思う。

リンケージ (IDコミックス 百合姫コミックス)

リンケージ (IDコミックス 百合姫コミックス)

 傑作。上半期最大の収穫、と言ってもいいくらい。
 倉田嘘百合姫でデビューした、まさに百合漫画界の純粋培養作家第一世代。これからの活躍に期待。

*1:女性の鉄道ファンのこと