ギャンブル小説の決定版

ドサ健ばくち地獄 (上) (角川文庫 (5834))

ドサ健ばくち地獄 (上) (角川文庫 (5834))

ドサ健ばくち地獄 (下) (角川文庫 (5835))

ドサ健ばくち地獄 (下) (角川文庫 (5835))

 大傑作麻雀小説「麻雀放浪記」のスピンオフ作品。阿佐田哲也ワールドに登場する最も魅力的で、最も危険な博徒、ドサ健を主人公に据えたギャンブル小説。登場するばくちもチンチロリンから手本引き、そして麻雀と実に多彩。それらのばくちを通じて、多くの人間が人生を消耗し、時には身を崩していく。
  舞台は高度経済成長著しい昭和30年代初頭。そのせいか、人々のばくちへの張り方もどこか伸び伸びとしている。読んでいて緊迫する場面も多数あるけれど、不思議と皆前向きであっけらかんとしている。そういう時代だったと言えばそれまでだが、なんともうらやましくもある。いまだったら、ばくちをこう描くのは難しいだろうなあ。それこそカイジのように書かざるを得ないだろう。
 それにしても非常に面白い娯楽小説でございました。麻雀放浪記よりも面白かったです。