自然の中で生きるということ

羆撃ち

羆撃ち

 著者は日本で唯一の熊ハンター。20代でハンターとして自然の中で生きる決意をし、猟犬を育て、北海道の山を転々と歩いて行く。そのハンティングの記録。
 いやあ、素晴らしい。本当に面白かった。ライフルを片手に山の麓にテントを張り、天候や方角を読み、可能な限り獲物を追いかける。仕留めた獲物には最大限の敬意を払い、肉や毛皮は何往復もして運ぶ。獲物は寸分残さず利用し、その命は循環し自分の血肉となっていく。
 描写の一つ一つが臨場感たっぷりで、ぐいぐいと引き込まれていく。著者の獲物、特に熊に対する敬意は独特で、自然の中で生きる、ということの意味を感じさせる。これはみんなにも読んでほしい。