ギャルゲーの大河ルートみたいな終盤だった

とらドラ10! (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

 8巻以降、ギャルゲーで言えば大河ルートに入ってしまったような展開だったなあ。最初の二・三冊で登場人物が出そろい、その後共通イベントを無難にこなしつつ、最後は大河ルート一直線。ここ二ヶ月で五巻以降を一気読みしたので余計にそう感じた。
 それにしても、面白いシリーズだった。特に五、六巻あたりから突然作風が変わって各登場人物の内面が次々と吐露されるあたりから俄然面白くなった。
 お話としては、家庭に問題を抱え、それが人格形成にも影響をきたしている大河と竜司が出会い、疑似家族的な関係を形成し、やがて恋愛関係に至る。最後どう落とすのかとハラハラしながら読んだんだけど、家族小説としての側面を押し出すことできちんと大団円を迎えた。その力業には素直に感服した。たた、最初にギャルゲーの大河ルートみたい、と書いたように、途中から次々と他の登場人物が恋愛レースから脱落してしまい、実乃梨や亜美の決着は結局描写不足になってしまった。まあ、それは十巻での完結がアナウンスされたあたりで覚悟していたんだけど。
 それにしても、登場人物のことを全員好きになっていたので完結してしまうのが本当に寂しい。次回作に今から期待したい。