紅玉いづき氏のこと


 昨日、市内のもっとも歴史のある本屋、宇都宮書店にて紅玉いづき氏のサイン会があった。そして、私も並んで写真のようにサインをもらってきた。ああいった場に知り合いが来るのは半ば嫌がらせのようなものかもしれないが、まあ嫌がらせ半分で行ったのだから仕方がない(笑)。
 紅玉氏は大学の文芸部および漫研の後輩だ。市内でニアミスすることも多いので、並んだりせずにその時にでもサインをねだればいいのかもしれないが、後輩の晴れの舞台に花を添えてやるか、という程度の気持ちでもらってきた。かなり盛況だったようで、同門の士としては嬉しい限りである。
 紅玉氏は私が五回生の時の新入生で、四歳差のはずだ。なかなかに元気のいい女の子が入ってきたな、と思ったのを今でも覚えている。当時から端正で綺麗な文章を書く人だった。
 残念ながら私はその後卒業研究に追われ、院に進学した後も中々に忙しくて幽霊部員になってしまい、ともに活動したのは最初の一年のみである。そしてその後輩たちもほとんど卒業してしまい、今となっては私のような会員がいたことを知る人間はもういないだろう。
 彼女が電撃大賞を受賞してデビューしたことは風の便りに聞いて、その後も必ず発売日に買って読むことにしている。実はてっきり上京したものと思っていたので、市内で偶然出くわしたときには一瞬誰だか分からなかった。あのときは失礼なことをした。
 何はともあれ、今後の彼女の活躍を期待したい。
 昨日は鉄色の紬アンサンブルと黒に灰細縞の正絹袴。黒繻子の足袋を履き、扇子は亀の絵が入った縁起物。準礼装の一張羅だ。後輩の晴れの舞台に相応しい恰好だったと自画自賛しておこう。