萬歳楽 鬼笑ひ


金沢もやたら暖かく、連日三月並みの天候です。
 私自身は毎日のように日本酒を飲むのですが、吟醸酒はほとんど飲みません。たいてい二千円前後の本醸造純米酒を好んで飲みます。そして、最近ちょっとびっくりするぐらいおいしい普通酒に出会ったので紹介。
 石川県白山市鶴来町にある小堀酒造の、「萬歳楽 鬼笑ひ」です。小堀酒造は福光屋などと並んで石川県でもトップクラスの石高を誇る酒蔵です。スーパーなどでも取り扱っているせいか、日本酒マニアの間での受けはあまり良くないです。実際、私自身も「吟醸などの高級酒はおいしいけど、本醸造普通酒はおいしくないなあ」と思っていました。
 そして、二週間ほど前にこのお酒を飲みました。最初は行きつけの居酒屋で味見させてもらって、ちょっとびっくりして一升瓶で買い求めました。発売されたのは数年前らしいですが、寡聞につき今まで知りませんでした。
 アルコール度数は19度。普通酒なのでそれなりにアルコール添加と加水してあるはずなのですが、どっしりとした雑味のない芳醇な味わいです。使われているのは石川県産五百万石と石川12号酵母。小堀酒造には以前からも同じ組み合わせで作られた「甚」という純米酒があるんですが、正直あまりおいしいお酒ではありません。すっきりし過ぎているせいで、悪い意味で水を飲んでいるみたいです。しかも変な雑味があって後口もあまりよくありません。純米酒なので一升二千円以上します。その点この「鬼笑ひ」は一升千七百円です。造りに関してどんな違いがあるのかは分かりませんが、ずいぶんと完成度の高い酒を出してきたなあ、と感心しました。
 個人的に萬歳楽では久々のヒットです。やすいですし、ちょっと癖になりそう。