TAP

TAP (奇想コレクション)

TAP (奇想コレクション)

脳に作用してあらゆるものを言語で表現することを可能にするインプラント“TAP”。それを使用していた世界最高の詩人が謎の死を遂げた。詩人の娘から事件の究明を衣頼された私立探偵は捜査に乗り出すが…表題作「TAP」、体外離脱体験を描いた“世にも奇妙な物語”「視覚」、一人称による饒舌な語りの異色作「悪魔の移住」、ホラー作「散骨」、イーガンの科学的世界観が明確に刻まれた名作「銀炎」ほか、すべて本邦初訳で贈る全10篇を収録。

『変わりゆく世界、ほろ苦い新現実
    世界最高のSF作家グレッグ・イーガン異色傑作選』
という帯の文句が恰好良い。
なんというか、イーガンを読むといつも思うことだけど、頭のいい人が書く文章はおもろいなあ。
イーガンを読むと、作品によって程度の強弱はあるけれど、今まで見て感じてきた世界に必ずなんらかの影響を受ける。「宇宙消失」のときもそうだったし、短編集「しあわせの理由」でもそうだった。しかもそれは心地よいファンタジーばかりではなくて、『科学的にはこうだから、もしかしたらあれもこうなのかもしれない』みたいなドライでほろ苦い現実だったりもする。
そして、そういったほろ苦さがたまに欲しくもなるのだ。