儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

米澤穂信の最新短編集。
以下、激しくネタバレあります。
とある大学にある読書サークル「バベルの会」を背景に、旧家や名家を舞台に繰り広げられる連作短編。どれも最後のどんでん返しを楽しむために精緻に物語が組み立てられていて、非常に楽しかった。
以下個別の感想
「身内に不幸がありまして」
 いったい誰が、何のために殺人を繰り返しているのか、というのが最後の1行で明らかになる、という構成。これは今回唯一、犯人から動機までを完璧に予測することができました。

「北の館の殺人」
 今回の中では一番出来が良かったんじゃないでしょうか。主人が絵を描いている、というのはなんとなく予想できましたが、色が経年によって変色する、という仕掛けには仰天しました。作者の博識ぶりには感動すら覚えます。

「山荘秘聞」
 完璧主義者のお手伝いさんが、お客様を招くためにどうしたか、という話。ミステリというよりは良く出来た小咄、というかんじです。ただ、ラストの口止めするための方法はちょっと粗っぽかったかなあ。

「玉野五十鈴の誉れ」
 ラスト1行にぞっとする、まさにそんな作品でした。二番目に好き。

儚い羊たちの祝宴
 『アミルスタン羊』といえば、これがどんなお話かは分かるでしょう。「バベルの会」の存在も全て明らかになります。