今日読んだ本

夜の光

夜の光

坂木司氏の本は全て読んでいるわけではないのですが、氏のベストワークと言っていい傑作だと思います。


ジョー、ギィ、ブッチ、ゲージの四人の高校生。どう考えても繋がらない四人の唯一の共通点は、『天文部』に所属していること。四人は天体観測を繰り返しながら、奇妙な連帯関係を強めていく・・・。

四人はそれぞれ家庭や人間関係に問題を抱えている。といってもどれもそれほど深刻ではなく、思春期であれば誰しもが抱えるレベルのものだ。四人はそういったいわば『世界』に立ち向かう同士であり、仲間である。

これといった音もなく、じっと星を見ながら紡がれる仲間意識。
なんだか高校時代に戻ったような感じで、読んだ後ももったいなくて、しばらく閉じた本の前で黙っていました。
十年前の剣道部の仲間は今頃どうしているんだろうか。

あと、個人的には天文部顧問の田代先生に助演男優賞をあげたい。田代先生の飄々とした感じ、しかししっかりと生徒を見ているその様は、この小説が必要以上に重くならなかった最大要因だと思います。



今日は緑の片貝木綿にモスリンの襦袢、紺色の半襟に茶色の角帯と木綿袴です。