凶悪


94点。実録犯罪映画にまた新しいマスターピースが誕生。
9月にTOHOシネマズ富山で鑑賞。10月末に石川県でも一月遅れで上映が始まるんだけど、予告編を観たらいても立ってもいられず富山まで観に行ってしまった。

2000年に実際に起こった通称「宇都宮監禁殺人」をモデルにした実録犯罪映画。
4件の殺人事件に関わったとして、暴力団組長・須藤(ピエール瀧)は死刑判決を受ける。そしてある日、雑誌記者・藤井(山田孝之)は獄中の須藤から驚くべき手紙を受け取る。その内容とは、まだ明らかになっていない余罪が3件あり、しかも須藤は実行犯に過ぎず、主犯格がいるというのだ。
藤井は真相を明らかにするべく奔走するが・・・。

元になった事件が似ているためか、「愛犬家連続殺人事件」をモデルにした「冷たい熱帯魚」と少し雰囲気が似ている。そして、リリー・フランキーの弾けッぷりが本当に凄いので、映画ファンなら誰しも「冷たい熱帯魚」のでんでんを思い出すのではないだろうか。
実は、このすぐ後に「そして、父になる」を観たんだけど、リリーが準主役とも言うべき重要な役で出ていて、本当に怖くて怖くて映画に半分も集中できなかった。

以下ネタバレ含みます




雰囲気が似ている2作品だけど、物語の着地点は全く異なる。
この「凶悪」は、ラスト30分でスクリーンの前の我々にこそそのテーマをぶつけてくる。
終盤、藤井は妻から一つの問いを投げかけられる。そして、さらには獄中の"先生"からも皮肉めいた指摘を受ける。それこそがこの映画のテーマであり、「本当に凶悪だったのは誰だったのか?」ということを思い知らされる。
それが何であるのか、是非映画館で観て確かめてほしい。