最近観た映画

カイジ2」2/10点

 ユナイテッドシネマ金沢で鑑賞。
 ゴミ。年間ワースト候補の駄作。
 とにかく駄目。脚本・演出の意図が全く分からなかった。
 まず、物語がもの凄くウェットな方向に振られているのが理解できない。原作には無い、石田の娘との因縁や利根川との協力(原作では闇金業の遠藤)のせいで、人情劇の方にウェイトが傾いてしまっている。でも、カイジの魅力って、ドライでシビアな状況の中、カイジがギリギリの所で人間性を保ちつつギャンブルに勝利(あるいは敗北)していく点だと思う。冒頭からラストまでとにかくウェットな作りになっていて、本当に台無し。
 お話の緊張感もまるで無い。1番の問題は、沼の軍資金が、原作では坂崎のおっちゃんが盗んできた金なのが、カイジが「姫と奴隷」というギャンブルで手に入れた3000万になってしまっている点。あれは、盗んだ金でしているから物語の整合性と緊張感が出るんですよ。だって、カイジはあの3000万円で自分の借金を返してトンズラすることもできたわけで、その後も沼に拘る理由は全く無いんですよね。45組の仲輭にしたって、もっと時間と準備を重ねて、他のギャンブルでゆっくりと救っていけば良い。あれは、2週間というタイムリミットがあったからこそ、本来なら勝ち目の薄い沼に挑まねばならなかったわけで、その軍資金がブラックマネーだったからこそ逃げ道が無かったわけで、その辺の前提が崩れたせいで脚本がメチャクチャになってしまっている。
 そして極めつけは実写版オリジナルキャラ、石田裕美の処理。これが本当に下手くそ。終盤まで、このキャラがカイジや帝愛、そして父親に対してどんな感情を抱いていて、どんなスタンスでいるのか全く分からないんですよ。敵かと思ってたら実は味方だったり、かと思っていたらやっぱり敵側だったり。彼女の思惑が分からないせいで、最後の彼女の選択が唐突な印象で、まったく感動できない。吉高由里子の演技も淡々としているせいで、このキャラが登場するシーンでいつも物語のテンポが切れてしまっている。原作のままだと画面に女っ気が全く無くなってしまうので、それを避けたかったんだろうけど、だったらもう少し上手く使おうぜ、とは観ている間ずっと思っていた。
 一条の扱いや改変された設定とか、ほかにも文句を付けたい点は腐るほどあるのだけれども、まあこのへんで。
 とにかく、監督と脚本の力不足と無能さのみが際立つ駄作でした。