今日観た映画

ペルシャ猫を誰も知らない」7/10点

 レンタルDVDで鑑賞。
 近年、ミニシアターなどを中心にコアなファンの間で中東の映画(特にイラン映画)が静かなブームとなっている。実際イラン映画は数々の作品がヨーロッパなどで賞を獲っていたりする。しかし、その多くは本国では上映禁止だったり、大幅にカッティングされた状態で上映されている。反政府的な内容や性的なシーン、その他戒律に抵触するシーンが出てくるためだ。数々のイラン映画に触れる際、この国の表現の自由が曲がりなりにもそれなりに機能していることに感謝して止まない。
 本作は、ロックバンド活動に傾倒するイランの若者のドキュメンタリー(風)映画*1。革命以来厳しい文化統制が敷かれたイランでは、当然欧米の映画や音楽は御法度。そんな社会でも、音楽に惹かれ、活動を続ける若者達。ロック自体が犯罪の国で力強く活きる若者達の物語。
 非常に興味深く鑑賞した。傑作だと思う。
 この映画は、決して「世界にはこんな国があってこんな若者もいるんですねー」的なユルい映画でもないし、表現の自由を後押しするような変な方向に政治的な映画でもない。正真正銘の「ロック映画」だ。
 彼らが身を置いている世界は非常に彼らにとって過酷だ。そして、彼らの音楽は究極的なまでに反社会的で、そしてキュートでセクシーなのだ。イランの様々なジャンルや人種のミュージシャンが出てくるんだけど、彼らは間違いなくもの凄くカッコイイ。そうなのだ、ロッカーは反社会的でカッコイイものなんだ。そのことに改めて気づかせてくれた。
 本当にオススメです。傑作。

*1:脚本こそあるが、出演しているミュージシャンはほとんどが実際にイランで地下活動をしている人達。また、撮影の多くはゲリラ撮影で行われている。ちなみに主演の二人は本作の撮影4時間後にロンドンに移住(要は亡命)、現在はヨーロッパで音楽活動を続けている。