今日観た映画

その街のこども」8/10点

 シネモンドで鑑賞。
 阪神大震災15周年で製作されたこの作品を、今この時期に観るという、そのタイミングに少々困惑した。
 元はNHKで放送されたテレビドラマで、そちらは未見。
 子供の時に震災を経験した二人の若者が、久しぶりに訪れた神戸の街を歩く。思い出になったもの、今なお心を蝕むトラウマ、様々な想いが二人の間を流れる。
 二人の若者を演じるのは、実際に震災を経験した森山未來佐藤江梨子。まさに「その街のこども」に他ならない二人によって紡がれる物語。
 傑作でした。この二人にとっての神戸という街、癒えたものと癒えないもの。それらが織り交ぜになって迎えるラストシーン、涙が止まりませんでした。これがテレビ向けに製作されてテレビで流れた、というのだから凄い。さすがNHK、というところでしょうか。
 しかし、この映画を通して東日本大震災に被災した人々を思わずにはいられない。彼らにとって復興に向けた長い長い時は始まったばかりなのだ。そして、おそらく何十年経っても癒えない物もある。被災された人々にとって、少しでも早く幸多い日々が戻ることを祈って止みません。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」6/10点

 シネモンドで鑑賞。英国王のスピーチ緊急ロングランにつき、上映回数が大幅に減ってしまった。特に、夜の上映が無くなってしまったのが、厳しい。昨日仕事だったために平日の今日、かなりの強行軍で観てきました。
 なかなかにキュートな恋愛映画。決して期待以上、ということはないけれど、期待を裏切らない程度には面白かった。
 頑張って原作イメージを再現していたまーちゃんに対して、みーくん役の染谷将太は、ヴィジュアルに関してはかなり原作イメージからは遠い。しかしこれは、要は漫画や小説を実写化する時に何を取って何を捨てるか、という問題。原作は所謂信頼できない語り手であるまーちゃん視点で書かれているために、二人の関係が虚実入り乱れて展開していく。その虚実入り乱れる様をヴィジュアル的に再現するための染谷将太の起用なのだろう。
 染谷将太大政絢、何と言っても釣り合わない、というか少なくとも恋人同士には見えない。しかし、口では愛を語り、公然といちゃついて見せたりする。その辺の違和感でもって、原作の地の文を再現しようとしたのだと思う。ライトノベルの実写化において、表紙や挿絵のヴィジュアルイメージを再現する、という安易な方法を取らずに文体イメージをキャスティングで再現する、という方法をあえて選んだ瀬田なつき監督の決断を、個人的には支持したい。少なくとも本作においては概ね成功しているのではないだろうか。
 傑作とは決して言えないけれど、そこそこの佳作だとはおもう。瀬田監督の次回作は是非観てみたい。