今日観た映画

 現在、インフルエンザのため伏せっていて、何もすることが出来ない。感染力の強いA型ということで、他者への感染を防ぐために外出もままならぬ。予防接種は12月に受けたはずなのに・・・、と思っていたのだけど、ググったところ予防接種って絶対的な予防法というわけでは無いんですね。ちょっと過信しすぎたか。幸いタミフルが効いて起き上がることぐらいは出来るのですが、咳と頭痛のためまず外出は無理な状態。というわけで、えんえんとレンタルDVDを観ています。

ソフトボーイ」7/10点
 DVDで鑑賞。2010年公開作品。
 意外な掘り出し物。本当に面白かった。
 県に1チームも無いので予選無しにインターハイに出られる、というだけの理由でノグチと親友オニツカは男子ソフトボール部を立ち上げる。そして、幸運に幸運が重なって全国への道が開けるのだが・・・。
 佐賀県で実際にあった出来事をもとにした映画。素人が仲間を集めて、いろいろいざこざもあって、そしてそれを乗り越えて、というベタベタな映画なんだけど、なかなかに出来の良い青春映画でございました。
 きちんと笑い所泣き所が用意してあって、非常にスカッとしました。良い映画です、オススメ。

「落語娘」4/10点

 DVDで鑑賞。2008年公開作品。
 女前座三々亭香須美と、その師匠の奇行三昧で知られる業界の札付き、三々亭平佐。平佐はあるときテレビ局の企画で「演じると死ぬ」という曰く付きの演目「緋扇長屋」を演じることになるが・・・。
 うーん、ミムラ津川雅彦、主役二人の熱演が素晴らしかっただけに残念。人生に悩む女前座の成長物語としても、幻の演目(何せ、演者が皆死んでしまうためにお話の詳細が伝わっていないのだ)を巡る謎解き話としても非常に中途半端。それにその「緋扇長屋」、さすがに津川雅彦に全編演じさせるわけにはいかなかったのか再現ドラマ風に語られるんだけど、全然怖くもなければ面白くもないし、しかも無駄に長い。単なるマクガフィンに過ぎないのだから、この程度のクオリティの物しか用意できないのならいっそ謎のままの方が良かったんじゃないだろうか。
 それにしても、男尊女卑の業界で伸び悩む女前座と、腕は確かだが奇行から鼻つまみ者になっているその師匠、という魅力的なコンビを設定したのだから、もう少しドラマの発展のしようがあったはず。

「ローラーガールズダイアリー」9/10点

 DVDで鑑賞。2009年公開作品(日本公開は2010年)。
 去年シネモンドで鑑賞して以来の鑑賞。いやー、何度観ても良い映画だ。マイナースポーツが舞台の女の子成長物、というだけでかなり私のツボ。
 実はこの映画を観るまでローラーゲームの存在すら知らなかったんだけど、これ観たらちゃんとやりたくなるからねえ、ローラーゲーム
 しかも嬉しいことに、ブリスの吹き替えが小松由佳。今回頭痛のため字幕を追う気力がおきなくて吹き替えで観たんだけど、ちょっと得した気分。
 あと、何が凄いってこれ、女優・ドリュー・バリモアの監督デビュー作でもあるんだよね。現役バリバリの役者で、監督デビュー作がこの完成度。同時期に劇場で観た作品が「シュアリー・サムデイ」だっただけにこれはショックだった。

「人生に乾杯!」8/10点
 DVDで鑑賞。ハンガリー映画。2007年公開(日本公開は2009年)。
 いいねえ、これは良い映画ですよ。主人公は81歳と70歳の老夫婦。老人福祉が行き届かないハンガリーで、ついに夫エミルは立ち上がる。まず郵便局で強盗、続いて妻へディをつれて逃亡の旅に出る。
 以前、共同研究者のロシア人教授に思い切って「ロシアは近年豊かになったと言われているが、国民の目から見てそのへんどうなのか」と聞いたことがある。その教授は、「今はパンを求めて並ぶことも無くなった。でも、あのころ貧しいと感じていたかというと、そんなこともなかった。みんな貧しかったから。今は豊かになったけど、格差も広がって社会がどこかギスギスしている」というようなことを言っていた。
 そして、この映画もそんな東側の旧共産圏の社会情勢を反映している。自由主義経済移行後、急速に発展する経済と、置き去りにされる社会福祉。それに反発する低所得者達。本作中でも、逃亡者である老夫婦、追う側の若い警察官カップル、昔を懐かしむ旧共産党員の老人達、自由主義謳歌する若者達。繰り返される対比の構図がテーマをこれでもかと鮮明にする。そしてこれって、もはや世界中の国で起こってることでもある。日本でも、置き去りにされる社会福祉に広がる格差、先送りされ続ける年金論議など、正にホットな話題。その点で、この映画は広い一般性を持っている。
 この老人版明日に向って撃て!とも言える本作だけど、暗く重い話かと言えば全然そんなことはない。老人力のなせる技なのか、全編にわたってどこか滑稽というか、間の抜けた感じで笑い所も用意されつつ進むのが結構意外だった。老人達の行いがハンガリー国民の中に共感を生んでいく様子も感動的。ラストはアッと驚く展開になるので、是非実際に観て確かめてください。オススメです。