今日観た映画

あしたのジョー」7/10点
 イオンシネマ金沢で鑑賞。初日だけあって、それなりの混み具合。今年の冬は話題作が豊富なためか、9時開場の時点でイオンシネマは長蛇の列。9時20分スタートの本作にはギリギリだった。
 面白かった!
 本作を酷評する人の中には、「こんなのあしたのジョーじゃない」という向きも見られるが、それは当たり前。本作は、「漫画版あしたのジョー実写版」なんかではなく、「出粼アニメ版あしたのジョー実写版」なのだ。
 冒頭、ブルースに併せて路面電車、逆光をバックにあのポーズで雨宿りをする矢吹丈。この時点で、出粼リスペクト入りまくり。
 全編通して、出粼版ジョーのイメージ再現度が本当に素晴らしい作品でした。同じように「実写での再現は不可能」、と呼ばれていた「ピンポン」をあそこまで忠実に映像化して見せた曽利文彦の才能が爆発した、といっても過言では無いと思う。
 あとは、鍛え抜かれた二人の肉体美。出崎ファンじゃなくてもそれだけで入場料の価値はある。伊勢谷友介は早くも個人的には2011年日本アカデミー賞助演男優賞最有力候補。
 本当にオススメです。

白夜行」7/10点
 イオンシネマ金沢で鑑賞。公開から2週間が経つというのに半分以上の客入り。イオンシネマ金沢の素晴らしい点として、映画の乗り継ぎが非常に良いというのがある。例えば今日はジョーが朝イチで、本作はジョーが終了20分後に入場が開始され、さらには太平洋の奇蹟が本作終了直後にスタート。その気になればほぼ時間ロス無く3本見ることができるのだ。これは、他のシネコンも見習って欲しい。
 チラシで「ラスト20分の衝撃」とあったので、かなり身構えて鑑賞に望んだ。ちなみに、この手のアオリは個人的には余り好きではない。
 しかし、身構えてはいたものの、ラスト20分のあの怒濤の回想シーンに息をするのも忘れるほどの感動を受けてしまった。そこまで積み上げられた断片的エピソードが爆発的な効果を上げていた。前作「半分の月がのぼる空」も近い構成だったので、今後深沢監督の芸風となるのだろうか。
 ただ、2時間半もある本作にあって、最初の2時間が断片的に淡々と進むというのはかなりキツイ。原作既読者以外にとってはかなりしんどい二時間になるのではなかろうか。映画的な見所も少ないので、どうにも火曜サスペンス的というか、テレビサイズの映画に感じる人も多いだろう。あと、どうしてもスケールの小さな映画に感じてしまう要因の一つとして、80年代の再現度がちょっと甘い、というのもある。堀北真希高良健吾の主役二人と刑事を演じる船越英一郎の熱演ならびに原作イメージ再現度が非常に素晴らしかっただけに、背景の再現度の低さが余計に目についた。
 本当は8点を付けたいんだけど、その辺がどうにも無視できないので-1点。
(以下ネタバラシがあるので白黒反転)
 ファンの間でも解釈が分かれる雪穂のラストの台詞だけど、本作でも解釈のブレは残しつつ素晴らしい映像にしていた。毅然と歩き笑顔すら浮かべる雪穂だけど、それまでかっちりとしていたカメラが揺れて白夜の薄明かりを失った雪穂の動揺、哀しみを表現していた。台詞の多くは原作をなぞったものだが、深沢監督らしい純愛映画となっていたと思う。