「食べる」ということ

女の子の食卓 6 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

女の子の食卓 6 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

 最近、「食べる事」にまつわるアレコレを描いたマンガが増えている。もともとゴラクや漫画timeあたりのおっさん雑誌だと定番なテーマだったんだけど、今は若い人が読むようなコミック誌にも増えている気がする。
 おそらく、近年の「喰いしん坊」「孤独のグルメ」などのスマッシュヒットによるものだと思うんだけど、個人的に「食べ物=命」「食べる事=生きる事」だと思っているので、こういった作品は実にすとんと腑に落ちてくる。
 そして、食マンガ界の最高峰、土山しげるの究極の対極にして至高の少女漫画がこの「女の子の食卓」だと思っている。
 食事をめぐるオムニバス・コミックで、毎回小学生から三〇代までの「女の子」が、「食べる事」を通して感じるもろもろを描く。タイトルが「食事」ではなく「食卓」なのが肝。要は、「誰と」「何を」「いつ」「どんなふうに」食べるのかが肝要なのであって、そういった行為を表するにはただ「食べる事」である「食事」よりも、食事の風景その他を含抱する「食卓」という言葉が相応しいのだろうと思う。
 五巻当たりはマンネリというか、安定期に入ってしまった気がしていたんだけど、六巻で盛り返した。今回では、個人的にはいじめられっ子の姪と潔癖症の叔母の交流を描いた「詠実莉のにぎった海苔むすび」が一番心にずしりと来た。
 このマンガを読むと、いつも自分はちゃんと生きているか(=食べているか)ということを考えてしまう。