そこを削っちゃ駄目でしょ

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091113/stt0911131914010-n1.htm
 政府の行政刷新会議の13日の仕分け作業は、次世代スーパーコンピューターの開発予算に事実上の「ノー」を突きつけた。議論の方向性を決定づけたのは「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」という仕分け人の発言。結局、「科学技術立国日本」を否定しかねない結論が導かれ、文科省幹部は「日本の科学技術振興政策は終わった」と吐き捨てた。

 次世代スパコンは最先端の半導体技術を利用。ウイルス解析や気候変動問題のシミュレーションなど広範な研究での活用が期待されている。「1秒あたり1京回」という計算速度が売りで、現在、世界一とされる米国製の10倍の速度になる算段だ。平成24年度から本格稼働の予定だが、総額約700億円の国費が今後必要なため、財務省は見直しを求めている。

 この日、口火を切ったのは蓮舫参院議員。その後も「一時的にトップを取る意味はどれくらいあるか」(泉健太内閣府政務官)「一番だから良いわけではない」(金田康正東大院教授)「ハードで世界一になればソフトにも波及というが分野で違う」(松井孝典・千葉工業大惑星探査研究センター所長)などと、同調者が相次いだ。

 文科省側は「技術開発が遅れると、すべてで背中を見ることになる」と防戦したが、圧倒的な「世界一不要論」を前に敗北。同研究所の理事長でノーベル化学賞受賞者の野依(のより)良治氏は「(スパコンなしで)科学技術創造立国はありえない」と憤慨していた。

 大学院の後輩や知り合いからは民主党政権になってから景気の悪い話しか聞こえてこない。「あそこの予算が削られて研究がストップしている」「実験が動き出さないまま欧州に先を越されそう」「人件費が削られて、装置だけが転がってる」などなど。
 中には他の部署と実験内容が重複していたり、長年成果が出ていなかったりと「無駄」とも言えなくもない事例もあるのだけれど、さすがにスパコンの予算削減はないでしょうよ。別の記事ではソフトの充実を代替案に掲げてるみたいだけど、ソフトウェアの充実を、ってあんた。ハードとソフトってコンピュータの両輪で、どちらかだけを研究ってあんまり聞かないような・・・。それにソフトならあんまりお金がかからないと考えているみたいだけど、ソフトを作って、さらにそのソフトを「みんなが使えるように」するための規格・デザイン策定や普及のためのなんたらかんたらに、どんだけのお金と手間がかかるとお思いか?まさか、オープンソースみたいにみんながボランティアで作ってくれるモンだと思ってないだろうな?ハードの予算を削るんなら、そのソフトの予算と手間(人件費)は出してくれるんだろうな?その上、(門外漢なので良くわからんのだけど)ソフトって、コツコツ技術と手間を積み上げていくハードと研究プロセスが違って天才のひらめきみたいなものが必要なイメージあるんだけど、そういったばくちの世界に投資する勇気はあるのか?
 これから先、インドや中国も力を入れてくる宇宙やコンピュータあたりは、歩みを止めちゃいけない分野だと思うんだけど。
 というか、議員からの「世界一である必要は?」という質問が・・・苦笑。世界一である必要はないけど、「世界一クラスのマシン」で演算する必要はあるんだよ。こういう科学センスの人間が「微分積分は社会に出て役に立たない」とか、「アポロはファミコンクラスのコンピュータで宇宙に行った。最新の技術は必要ない」とか言っちゃうんだよ。
 あと、そういった一見無駄とも言えるような予算から、ポスドクや非常勤研究員のわずかばかりの生活費が捻出されている事も付け加えておきたい。別に予算を削るのは仕方がないとしても(本当は良くないんだけど)、彼らの生活を何らかの形で補償する制度を作ってからにして欲しい。