身体性の高さに熱くなった

ボックス!

ボックス!

高校ボクシング部を舞台に、天才的ボクシングセンスの鏑矢、進学コースの秀才・木樽という二人の少年を軸に交錯する友情、闘い、挫折、そして栄光。二人を見守る英語教師・耀子、立ちはだかるライバルたち…様々な経験を経て二人が掴み取ったものは!?『永遠の0』で全国の読者を感涙の渦に巻き込んだ百田尚樹が移ろいやすい少年たちの心の成長を感動的に描き出す傑作青春小説。

 去年の本屋大賞ノミネート作品。
 読んでいて、その身体性の高さに思わず熱くなった。カンフー映画などを観た後に、藤子Aよろしく「キエーッ」と奇声を発したくなる事はよくあるが、小説でここまで体を動かしたくなったのはいつ以来だろうか。
 主人公の片割れが最初軽く体を動かすのすらままならないガリ勉優等生、というのが実に良い。小中高と持ち続けた“あの”コンプレックスを実に巧みに刺激してくれる。その優等生が人並み外れた努力によって徐々にボクシングを身につけていく様子に思わず手に汗握り、何年ぶりかに電灯のコンセント相手にシャドーボクシングをしてしまった。
 600ページ弱と、それだけ見たらかなり分厚い長編なんだけど、一気に読んでしまった。そして、読んだ後にまたシャドーボクシング。うーん、本当に面白かった。