最近読んだマンガの感想をダラダラと書くよ

 最近、本を読む暇すらなくてストレスが鰻上り。というわけで、せめてものストレス解消のために、読んだマンガの感想をダラダラと書きます。

数学ガール 下 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

数学ガール 下 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 北陸の誇る眼鏡っ娘マンガ家、日坂水柯による人気数学入門書(こうかくと変な響きだ)のコミカライズ。ヒロインのミルカさんが原作よりももの凄く柔らかい雰囲気で、主人公との絶妙な距離感に読んでいて身悶えしそうになる。図書室で眼鏡美少女と数式で語らう、けしからんですよ。
 あとは、数学部分が非常にコンパクトに分かり易くまとまっていて、原作を読んでから手に取ると、復習になって良いと思います。
 上巻の後書きで、描いている本人は数学部分は全く分かっていない、とあったけれど、数学部分を理解していないのにここまで完璧にまとめてあるとしたら、それは凄いことですよ。やっぱりプロのマンガ家のプロならではの技術なんだろうなあ。
 本人のブログだったか、別の単行本の後書きだったかで、筆ペン(もしかしたら竹ペンだったかも)を使ってペン入れしている、というような事が描いてあったと記憶しているけれど、デジタル全盛の世の中で『道具を工夫する』という単純だけどなかなか実行に移せない試みはそれだけで素晴らしいし、今のところ成功しているとも思うのでこれからも続けて欲しい。
 今度ビジネスジャンプの別冊に短編が載るらしいので皆さんも手に取りましょう。

放浪息子 9 (BEAM COMIX)

放浪息子 9 (BEAM COMIX)

 DS本体を持っていないのにTHE IDOLM@STER DS を予約しようか迷っている程度には女装美少年モノが大好きな私ですが、女装マンガの最高峰を一つあげろ、と言われたら間違いなくこれをあげます。
 8巻で遂にセーラー服で登校してしまった二鳥君は、世間からの有言無言の圧力に容赦なくさらされる。そしてそんな社会との摩擦の中で、「自分は女装をしたいだけなのか」、それとも「女性そのものになりたいのか」という問題に否応なく直面する。
 このお話には数パターンの異性装者が登場する。ニューハーフとして男の恋人と同棲し、良きアドバイザーとして二鳥君を陰から支えるユキさん(戸籍上は男)。男の人が好きで、好きな男性に好きになって貰えるような女の子になりたいと思っているクラスメートの有賀君。異性愛者だけど、好きな女の子の気を引くためになんとなく女装するフミヤ君。「着たい服を着る」というポリシーの下に男子の制服を着る(こともある)ちーちゃん。もともと男になりたいと考えていたけれど、心身ともに女の子らしくなっていく自分を受け入れつつある高槻さん。そして、ただ一人自分の立ち位置を決められない二鳥君。私はそんな性的に不安定な登場人物達が、いかにして自分の性・ジェンダーを受け入れていくのか(あるいは受け入れたのか)という物語として読んでいる。
 個人的には二鳥君がどんな決断を下そうとも物語の評価自体は全く揺らがないので、10巻以降の展開を固唾をのんで待ちたい。

青い花 4巻 (F×COMICS)

青い花 4巻 (F×COMICS)

 放浪息子が女装マンガの最高峰なら、こちらは百合マンガの最高峰。こういった思春期のモヤモヤを描かせると、志村貴子は本当に上手い。
 結局1巻以降、一貫してふみちゃんの優柔不断さと、惚れっぽさがモヤモヤの根源。4巻でついにあーちゃんに衝撃的なカミングアウトをして、5巻に続く。一年に一冊程度しか単行本が出ないので、次が待ち遠しくてたまらない。
 それにしても、こちらにも様々なタイプの女性同性愛者が登場する。まず主人公のふみちゃん(レズ)、物語からはフェイドアウトしてしまった杉本先輩(バイ)、その杉本先輩に憧れる井汲さん(レズと言うよりはエス?)。良く一緒くたにされがちな同性愛者達だけど、実は抱える内外面の問題はそのタイプによって千差万別。*1こうして似て非なるキャラクターを立て続けに登場させて、物語に立体感を与える、というのは志村貴子の得意としている手法。
 奥手でかつ同性愛者への偏見を持っていないあーちゃんが五巻でどんな結論を出すのか静かに見守りたい。

*1:そして、そのことが彼らへの周囲の無知から来る偏見をさらに大きくしてしまっている。