変わりゆく仏教のあり方
- 作者: 高橋卓志
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/05/20
- メディア: 新書
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というわけで、私は年齢の割にかなり信心深い人間なんだろうと思う。母型の祖母の葬式は葬式ホールでの今風の葬式だったのだが、正直送った気がせず気分の余り良くない物だった。
この本は、昨今の『葬式仏教』と揶揄される仏教界に厳しく一石を投げかけている。地域との縁が薄れ、戒を守らず、葬式に念仏を上げるだけの仏教界に未来はない、とまで断じる。著者本人も長野県に寺を構える現役僧侶で、実際に寺で行っている試みが詳細に記され、あの世とこの世の橋渡しをする際に、現代の寺院ができることを提言している。
その提言は、全てが頷けるものではないかも知れないが、行き詰まりを見せる仏教界における一つの参考意見としてはかなり重要なものだろう。宗教者としてその生死を見詰め、いくらかでも人間の心を和らげたいと願うその心こそが、仏教のありようそのものだとも思う。
仏教の一信徒として、今後の仏教界の行く末を静かに見守りたいと思う。