ええーい、那子様を出せ、那子様を

機動内親王澪子様の冒険 (ワニノベルス)

機動内親王澪子様の冒険 (ワニノベルス)

我々の知る昭和に似た、別の歴史にある『1941年』の12月。大日本帝国の駒条宮澪子(くじょうのみやみこ)様は、世界的に名の知れた内親王・桃園宮那子様の身代わりとして空路ベネチアへと降り立った。だが、ソ連の刺客に命を狙われる。侍従長の斉藤が身代わりとなるが、彼は意識を失う直前、「銀盤を手に入れよ」と謎の言葉を告げる。澪子様は「銀盤」の所在を求め、刺客の手を逃れて、巨大飛行船へと乗り込むが…。華麗な黒ドレスに身を包み、帝国プリンセスとしての使命感と少女の意地をかけ、大冒険に挑む。

 「女皇の帝国」シリーズ最新刊。といっても外伝で、主人公も我らのプリンセス那子様ではなくて、その親戚筋に当たるもう一人の内親王、駒条宮澪子様。
 舞台も真珠湾を勝利で終え、ミッドウェー海戦を間近に控える「内親王那子様の聖戦」の前日譚で、1941年のイタリア。那子様の影武者として渡欧した澪子様が大騒動に巻き込まれる。
 まだ戦争が始まっていないので、お話は戦記物と言うよりアクション小説の色合いが濃い。お話のテンポは良いし、澪子様もかなり魅力的なキャラなので退屈はしないけど、「内親王那子様の聖戦」のノリを期待すると肩すかしを食うかも。あと、お話がこれ一冊で終わってなくて、シリーズ物。「内親王那子様の聖戦」の方も、決して刊行ペースが速いわけではないので、その辺が少し心配。