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星虫年代記 1 星虫/イーシャの舟/バレンタイン・デイツ (朝日ノベルズ)

星虫年代記 1 星虫/イーシャの舟/バレンタイン・デイツ (朝日ノベルズ)

氷室友美はスペースシャトルの操縦士になることを夢見る、高校一年の女の子。そんな友美が夏休み最後の日に、人間の額に吸着することで宿主の感覚を増幅させる能力を持った宇宙生物“星虫”と出会い、世界を騒然とさせる大事件へと巻き込まれていく…。岩本隆雄のデビュー作にして“幻の名作”といわれた『星虫』に、姉妹編の『イーシャの舟』と書き下ろし短編を加えた感動のSFシリーズ、ここに奇跡の復活。

 SFはどうしても科学の進歩や社会情勢の変化によって陳腐化してしまうので、いつ 、どのように読んでも面白いSFというのは貴重だ。そんな一冊がコレ。
 単行本の初版は1990年。私は中学の図書室でこの単行本を読んで以来の大ファン。文庫版(朝日ソノラマ文庫、絶版)も当然読んでいて、この復刻版で三度目の購入となる。今回は「星虫」の前日譚となる「イーシャの船」との合本版で、書き下ろし短編も加わった豪華版。朝日ソノラマ亡き今、中々に太っ腹な采配だ。あと、現代に合わせていろいろと修正がしてあるので、若い読者も安心。
 いやー、それにしても面白いよ、やっぱり。常に前向きな主人公、異星生命体とのコンタクト、そして巻き起こる大事件にハッピーエンドの大団円。SFってやっぱりこうだよね、というお手本みたいな小説。みんなもどんどん買いましょう、そして読みましょう。