また騙された

太陽の坐る場所

太陽の坐る場所

以下ネタバレを含むのでたたみます
 いやはや、また騙された。凍りのクジラと同じ種類の叙述トリックだったのに、すっかり忘れてたよ。
 卒業して十年経ち、それぞれの人生を送った仲間が、当時のことを回想しながらわだかまりをゆるやかに解消していく。
 名前にふりがなが振っていない時点で気付くべきだった。響子と今日子の二人のキョウコに、倫子(ミチコ)と鈴木今日子の二人のリンちゃん。この三人が次々と物語の俎上に上がるものだから、すっかり騙されてしまった。
 でも、その分最後緩やかに謎とわだかまりが解けていくシーンは少し感心した。こういうのを書かせたら、本当にうまいなあ。