せつなさが追いかけてきた

(せつなさが)斜め上から来るぞ、気をつけろ! -ビジネスから1000000光年
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20090302/1236025862

中央線の駅が美形男子に “鉄分”入り乙女向けWeb漫画「ミラクル☆トレイン
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0903/02/news075.html

 詳細は上記したページを見てくれればいいんだけど、とにかく
 キャラクターデザインはイラストレーターの甲斐智久さんが担当した。イラストレーターの候補は3人いたが、池袋の「乙女ロード」で歩行者にイラストを見せてアンケートを取り、1番人気だった甲斐さんに決めたという。
に吹く。なぜ腐女子向けの企画に甲斐智久(=水谷とおる)。本当にマーケティングしたのか?それにしてもこの名前に苦〜くて、ある意味せつない気分になる30歳前後のオタクは多いのではなかろうか。
 甲斐智久はセンチメンタルグラフティ(以降セングラと略します)というギャルゲーで一世を風靡した人気イラストレーターで、水谷とおる名義でエロゲー原画等の活動もしている。
セングラというのはギャルゲーブームの末期*1にG'sマガジンを中心に大がかりプロモーションが打たれた大作ギャルゲー。転校続きで日本中に12人のガールフレンドを持つ主人公が、交通費とスケジュールをやりくりして日本中を旅しながら12股を完遂するという、文章にすると頭が痛くなるようなゲーム。九州まで行くのは面倒だから、なんて言って放っておくと、女の子が東京まで乗り込んできてちょっとした愁嘆場になるので要注意。人間関係に疲れたプレーヤーに、近場の頭の軽い女で我慢しておけ、という教訓を教えてくれる貴重なゲームである。
 ちなみに続編に当たる2作目が作られていて、なんと天罰が当たったのか1作目の主人公は交通事故で死亡、その葬式でヒロインが列席、自分以外に11人も恋人がいたことを知るという笑劇のシーンから始まる。
 いやあ、それにしても懐かしい。セングラ自体は上記したようなクソゲーなのだが、後に続く「北へ」「風雨来記 」などの旅情ギャルゲー(今作った言葉)の嚆矢になったのだけは評価したい。今思えばサターンをフル稼働させた最後のゲームだったなあ。とにかくグッズ展開がもの凄くて、実際にオタク界隈での話題性も凄かった。「作品の中身がなくてもムーブメントは作り得る」というのを最初に思い知らされた作品でもあった。私自身はゲームしか買わなかったけど、友人でグッズを山のように集めているやつがいたなあ。
 一応書いておくと、一番好きなキャラは七瀬優。ポスターを机の横に貼っていた。
 まあ、だから何が言いたいわけでもないのだが、「部屋にアニメの等身大ポスターを貼っている高校生は、できればその作品をいつまでも好きで居続けて欲しい。あと、親はけっこうお前のことを心配してるぞ」とだけは書いておきたい。
 久しぶりに駄目な意味でせつない気分になったよ。

追記
 セングラはアニメ化もした。深夜アニメが当たり前になり始めた頃で、エヴァブーム直後のアニメ粗製濫造期だけあってクオリティは推して知るべし。でも当時の他の深夜アニメと比べればかなりマシだったような記憶が。ゲスト声優がやたら豪華で、そちらの方を目当てに見ていた。友人がLDを買っていたが、LDプレーヤーを持っているのが仲間うちで私だけだったのでダビングしてみんなに配った。テレビアニメのくせに各巻一話収録の全十二巻というぼったくり商法だったのを覚えている。

*1:というか、この作品の失敗がギャルゲーブームに事実上終止符を打ってしまった