女装と日本人
- 作者: 三橋順子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/09/19
- メディア: 新書
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そして、そんな尾山飲食名店街に、ラウンジ神田というスナックがある。こここそ、知る人ぞ知る金沢唯一のオカマ・バーである。(ショーを売りにするニューハーフ・パブや女装無しのゲイ・バーは何件かあるらしい)
店に入るとゆみママ(戸籍上は男)が優しく笑顔で迎えてくれて、外観からは想像が付かないくらい店内の雰囲気は明るい。料金はチャージと最初の一杯(いわゆる“セット”)で3000円くらい。アルコール類は概ね500円〜1000円程度なので、三盃飲んでも5000円あれば足りる計算だ。この手の店としてはかなり安い部類に入るだろう。ゆみさんはかなりのインテリ(なんでも以前は堅めのお仕事をされていたらしい)で、聞くのも話すのも上手いので、大学や役所関係の常連さんも多いと聞く。
客層はほとんどが私のようなヘテロセクシャルで、残念ながら(?)女装者や同性愛者のお客はほとんどいない。一度いわゆる“オカマ”の方を見かけたが、どうやら旅行者で金沢の人ではなかったようだ。やはり保守的な土地柄のせいか、金沢の女装事情はあまり良くないようだ。
とまあ、ここまで金沢のオカマバーについて書いたが、それは私の彼女達(とあえて書こう)へのスタンスを表明しておきたかったからだ。
以前から女装について興味があったので、この本は、完全にタイトルのみで興味を引かれて手に取った。内容はというと、日本の古典に見られる女装者の話から、江戸時代から現代に至るまでの女装者・同性愛者の歴史が実にわかりやすく網羅してあって、非常に面白かった。とにかくこれを読めば、日本における異性装(主に女装)の歴史と流れをすんなりと理解することができるだろう。
あとは、性別の枠を踏み越えることによって発生する不思議な魅力“双性原理”など、自らが女装者である著者の全く新しい視点からの提言が非常に興味深かった。
異性装に興味がある人は読んでおいて損はないだろう良書である。
あ、ラウンジ神田は本当に楽しい飲み屋なので、金沢へ旅行した際には是非寄ってみてください。金沢城のすぐ近くです。
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