小諸に行ってきました

明日東京で研究会なので、今日は18きっぷを使って一日がかりで移動しました。今、実家から書いています。
金沢〜篠ノ井をJR、篠ノ井〜軽井沢をしなの鉄道、横軽間をバス、横川から再びJRで移動したのですが、途中長野県小諸市で三時間ほど途中下車、小旅行を楽しみました。
この小諸市ですが、戦国時代は武田信玄の守りの要として、江戸時代は交通の要衝として栄え、島崎藤村高浜虚子といった文豪にも所縁の深い情緒ある街です。五年ほど前、まだ学部生だった頃に小海線に乗るために訪れ、その時に一発で気に入り、それ以来ことあるごとに訪れています。
しなの鉄道普通列車小諸駅で降ります。新幹線が止まる佐久平駅上田駅と比べると寂れている感は否めませんが、昭和の情緒が残る駅舎が良い感じです。

駅のすぐ近くに、小諸市のシンボルとも言える懐古園(旧小諸城)があります。小諸城山本勘助によって築城されたといわれる難攻不落の山城で、山の中の窪地に隠れるように建てられています。江戸時代には譜代牧野家、小諸藩の居城として使われ、維新後は市に寄贈され懐古園として名を改め今に至っています。

今は城の面影を残すのは門と石垣、古木のみとなってしまいましたが、情緒溢れる名園だと思います。
  
城跡には明治時代に小諸義塾という私塾が建てられ、島崎藤村も教鞭を執りました。それを記念して、島崎藤村記念館が建てられています。文豪の息吹を直接感じられる素晴らしい公園です。

また、この懐古園には小諸市動物園が併設されています。こちらはなんとも言えないアングラ感を出しています。先ほどまでの情緒が嘘のような、うらびれた地方都市の情景が浮かび上がります。とてもですが、同じ敷地にあるとは思えません。

この動物園ですが、残念ながら典型的な日本の地方都市の動物園です。アニマルライツとか言ってる人が見たら卒倒しかねません。動物たちは狭い檻に閉じ込められているし、正直汚いです。動物園の看板動物としてライオンの番が飼われているのですが、狭い檻の中で所在なさそうにしています。熊に至っては動物園特有の異常行動を起こしています。そもそもこの時期は冬眠の時期のはずです。

地方都市の財政がどこも厳しいのは分かりますが、これはなんとかならんのでしょうか。ここにはライオンという看板動物がいますし、鳥類の種類と数も豊富です。なのに、展示状況が悪すぎます。駅近くの小諸城跡という好立地にあるので、もう少しお金をかければ絶好の集客施設になると思うんですが。
 
気を取り直して。
懐古園を見た後に、駅前をちょっと抜けると旧北国街道に出ます。当時の町並みが色濃く残る、情緒ある町並みです。本町というところが旧宿場町に当たり、旅館の他にも味噌屋や酒蔵があります。
  浅間嶽の醸造元、大塚商店
大塚商店ではさっそく浅間嶽を飲みました。この浅間嶽ですが、島崎藤村高浜虚子も好んで飲んでいたということです。内陸らしいどっしりとした、味の濃い非常に美味しい銘酒です。
この後は北国街道をしばらく街を見ながら散策し、山一屋酒店という酒屋に向かいます。
この山一屋酒店ですが、いつも私はここに立ち寄って長野の日本酒を買い求めることにしています。今日も素晴らしい日本酒、それも密かに日本一だと思っている日本酒を買い求めました。これに関しては後日紹介したいと思います。
   北国街道と山一屋酒店
最後に、高浜虚子記念館に立ち寄りました。ここも、いつも必ず立ち寄る場所です。なんと、高浜虚子が住んでいた離れが「虚子庵」という名で、今でも当時のまま保存され公開されているのです。
かつて虚子が使用していた書斎
また、虚子ゆかりの土地柄だけあって、街のそこかしこに俳句の投句箱が置いてあります。私もその場で一句詠んで投句してきました。
以上、かんたんですが小諸途中下車の旅です。このほかにも古刹名刹も多数有り、見所には事欠きません。駅を中心に市街地と温泉地、ワイナリーなどを結ぶコミュニティバス「すみれ号」も多数走っており、路線バスやタクシーと併せて使えばかなり自由に街を回れると思います。
 コミュニティバスすみれ号
新幹線も通っておらず、スキー場などのレジャー施設もあまりありませんが、非常に情緒ある素晴らしい街です。みなさんも一度訪れてみてはどうでしょうか。