すごい本屋!

すごい本屋!

すごい本屋!

「うちの村にも、本屋があったらええんやけど…」そんな村の人たちの声に応えてできた山奥の本屋さん。まわりにはほかにお店がないので、お味噌や洗剤も売っています。村の子どもたちに本の世界を知ってほしいと、今日も絵本をかついで読み聞かせに走り、楽しいイベントを企画します。「かいけつゾロリ」の原ゆたかさんをイノシシと出迎え、昆虫少年と今森光彦さんをお宮の森で対面させる…。子どもたちの目が輝きだしたら、大人も動き出す。本屋さんほど素敵な商売はない。

おそらく日本で一番辺鄙(失礼)なところにある本屋のドキュメンタリー。書いているのは店長本人、ということもあって、非常に地に足の着いた面白い本でした。
私の生まれ故郷にも私が小学三年生まで本屋がありませんでした。ある日国道沿いに郊外型書店(半分が本屋、半分がレンタル屋というタイプの店です)が出来て、初めて小学校の図書室以外で本を手に取れる場所が出来ました。隣には同系列のスーパーマーケットがあって、よく母親の買い物に着いていっては本をねだって買ってもらいました。私の出身地には図書館が無いので、おそらく町で一番本がたくさんある場所でもあったと思います。今思えば単なるつまらない無個性な郊外型書店だったのですが、当時の私にとってはお菓子の家のような存在でした。そんな町で一軒の本屋ですが、アマゾンなどネット通販が台頭してくると、競合店がないにも関わらず数年前に撤退してしまいました。今、私の田舎は再び本屋のない町になってしまいました。
だからなのか、著者のもの凄く地道で前向きな努力の一つ一つを読み進める途中で、本当に泣きそうになってしまいました。そして、その努力が山の中で少しずつ実を結んでいく過程で涙腺が崩壊。普通に考えたら決して感動して泣くような本ではないはずなのに。
最近この手の人のがんばりがきちんと報われる内容に弱いです。