週末に観た映画

「実写版 忍たま乱太郎」2/10点

 ワーナーマイカルシネマズ金沢で鑑賞。
 駄作。現在、年間暫定ワースト1位。
 不愉快なほどつまらない映画だった。
 結局の所、どこにリアリティラインがあるのか最後まで分からなかった。
 主役は子供達で、原作はギャグマンガ。なので、原則子供達は「血の流れない世界」の住人なんだけど、その辺が全く持って徹底されていない。
 子供達は基本的に手榴弾で吹き飛ばされて2階から落ちてもケガ1つしないわけだけど、転ぶともの凄く痛そうな顔をして涙ぐむ。痛みのある世界なのかどうなのか、血が流れる世界なのかどうなのか、全く統一されていないので感情移入のしようがない。じゃあ大人達はどうかというと、やっぱりその辺のリアリティラインがはっきりしない。もの凄く糞真面目な殺陣をしたかと思えば、刀や手裏剣が飛び交うアクションをしたはずがたんこぶができる程度のケガしかしない。
 途中、素晴らしいアクションシーンもあるし、終盤それなりに盛り上げようとはしてるんだけど、そのあたりのリアリティラインがあやふやなせいで全く緊張感がなかった。また、リアリティラインが振れるせいでギャグも滑りっぱなし*1。どうせなら、ラストは鉄砲で鐘を衝くのではなくヘッドショットでこちらの度肝を抜いて欲しかった。というか、ラスト30分はそればかり期待していた*2
 監督は大ベテランで、あと何年かすれば巨匠と呼ばれてもおかしくない三池崇史。そのキャリア故か、三池監督は時々ノリで作ってしまったり、テレがあるのか微妙に突き抜けない感じが残るときがあるんだけど、今回は正にそれが最悪の感じで出てしまった気がする。本来なら周囲のスタッフがその辺をコントロールすべきだったんだろうけど、人気原作に売れっ子監督ということで上手く機能しなかったのだろう。
コメディ映画だからこそ、その辺の調整は重要だったと思う。この映画のスタッフは、鈴木則文作品を100回見返して勉強し直して欲しい。
 個人的にはいい大人が思いっ切り羽目を外して作ったコメディ活劇を期待していただけに、本当に残念な出来だった。

 後は、テレビを観る習慣が全く無いもので、主演の加藤清史郎についてどういう人かほとんど知らなかったんだけど、はっきり言って銀幕の格ではないように感じた。滑舌は悪いし、全く存在感が無い。「行儀が良い少年」の代表である乱太郎は、ただでさえ影が薄くなりがちなのだから、もう少し存在感のある子役を使うべきだったと思う。

*1:どこまでがマジで、どこからが「なんちゃって」で済むのか、その辺りが作り手観客共に掴めないままダラダラとお話が進むため、最後まで笑い所が分からなかった

*2:もしラストでヘッドショットがあれば、その衝撃を楽しむためにリアリティラインを予めぼかしてあったのか、と心の底から感心したはず。