それはマナーと言うよりはローカル・ルールだよなあ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091117-00000557-san-soci
通勤車内で飲食する大人たち すたれる公共マナー 寛大な風潮が助長か
 10月初旬、東京郊外を走る私鉄車内。大学名の入ったジャージー姿の女子大生3人が、熱々のおでんを食べながら談笑している。見かねた高齢の男性が「行儀が悪いな」と一喝。それでも女子大生たちは悪びれる様子もなく、食べ続けていた。

 別の日の昼下がり。地下鉄車内では、携帯電話片手にコンビニ弁当をかき込むサラリーマンの姿があった。車内で立ったままおにぎりを食べるOL、揺れるバスの中でホットコーヒーを飲む男性会社員…。いずれもここ半年間で、電車やバスの車内で見かけた光景だ。20〜30代の大人の飲食マナーが低下していることをうかがわせる。

 都内を走る鉄道、バス各社は車内での飲食は禁止していない。あくまでも利用者の良識に委ねられているのが現状だ。

 なんか定期的に出てくるよね、この話題。確か去年も同じような内容の記事がネット上で議論になっていたような気が。産経新聞なんかの、こんなおっさんの居酒屋での愚痴みたいな記事にいちいちコメントしたくないんだけど、思った事を少しだけ。
 北関東出身で、現在北陸に暮らし、一時期乗り鉄として全国のローカル線を乗り回っていた経験からだけど、「通勤電車内で物を食べたり化粧をしたりしてはいけない」というのは、東京・大阪といった「満員電車」という現象が存在する大都市圏のみのローカル・ルールという実感がある。田舎だと、みんな公共交通機関で普通に食事をするし(弁当とかおにぎりとか)、突然野良着を脱いで股引を直したりするおばあちゃん連中が普通にいたりする。
 だから、こういう「食べないのがマナーだ」と上から言い切るような記事には、「東京のルールこそが日本のルールだ」とでも言いたげな、あの憎たらしい知事のような奢りがうっすらと見えてしまって*1少し嫌な気分になる。いや、東京にそういうローカル・ルールがある事は否定しないし、それはそれで必要なマナーなんだろうけど、そのマナーがローカル・ルールであるという実感を持っていますか?とは聞いてみたい。
 東京や大阪という大都会は地方出身者(所謂おのぼりさん)もたくさんいるだろうから、そういったローカルなマナーを徹底させるのは難しいだろうね。同じ日本人ですら、ちょっと異なる文化圏出身者が公共の場に混じるだけでこんな議論が生じるんだから、日本で外国人参政権とか移民とかが現状では現実味が無いことを身にしみて思い知らされてしまう。
 こういう時に摩擦をなるべく少なくする方法としては、ローカルなマナーを周知させる事以上に、多少は目を瞑って時にはおのぼりさんを助けてあげるような寛容の心、だったりするんじゃないかなあ。「あいつは田舎モンだなあ(笑)。どれどれちょっと助けてやるか」みたいな、昭和時代の映画でよくあるでしょ、そう言うシーン。見て見ぬふりをして、後から愚痴るなんてそっちの方がずっと恥ずかしい事ですよ。
 まあ、江戸っ子気質が過去の物になってしまった東京にそんなコミュニティ力がもう残っていない、という事なんだろうなあ、とこのニュースを見て少し寂しくなった、という話でした。

*1:単なる田舎物のひがみや自意識過剰なんだけど