こちらの選挙も盛り上がってまいりました

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20090923/209585
 合併をめぐる解職請求(リコール)成立により針谷育造前町長が失職したことに伴い、県内初の出直し選挙となった岩舟町長選挙が22日、告示された。いずれも無所属の新人で、社会福祉法人理事長の岩崎俊雄氏(62)、前町議の茂呂幸司氏(53)の2人が立候補した。最大の争点は混迷する合併問題。岩崎氏は「あらためて合併の在り方を考えたい」、茂呂氏は「佐野市との合併推進」をそれぞれ掲げて訴えた。

 私の生まれ故郷である栃木県岩舟町は合併問題に揺れていて、そのことについてはこのブログでも何度か触れてきた。
 大まかな流れとしては次の通り。

  1. 東西に細長い岩舟町は、栃木市と結び付きの強い静和地区、佐野市との結びつきが強い小野寺地区、昔は採石で栄えた独立の気概が強い岩舟地区と、三つの地区に分かれている。合併に関しても、意見が割れている。
  2. 以前から、大平・岩舟・藤岡の隣接三町による「大岩藤合併計画」があり、「みかも市」という名前まで決まっていたが、計画のとりまとめ役である前藤岡町長の突然の死去に伴い計画中止。
  3. その後、栃木市を中心とした五町一市による大合併計画が浮上。ほぼ決まりかける。
  4. 岩舟町において、佐野市との合併推進派の提案による住民投票を実施。佐野市派が栃木市派を上回り、栃木市との合併は白紙に。当時の栃木元町長は責任を取る形で辞任。
  5. 栃木市派が候補を擁立する事が出来なかったので、選挙は無投票で前町長・針谷氏が当選。
  6. 当初は住民投票の結果を尊重し佐野市との合併を画策するも、佐野市側は難色を示す。
  7. 岩舟町にとって有利な条件が引き出せなかったので、当初から合併に慎重な姿勢を見せていた針谷前町長は独断で合併協議を中止。年度内の合併はほぼ不可能に。
  8. 佐野市派を中心としたリコール運動によってリコール。
  9. 現在、岩舟町は佐野市派・合併反対派に分かれて町長選のまっただ中。

 書いているだけで頭が痛くなるような、いかにも田舎の選挙、という感じでお恥ずかしい限り。個人的には、栃木市との合併がベターだと思っているのだけれども、どうなることやら。
 選挙戦が始まる前は、以前の住民投票・リコール選挙と二連勝中の佐野市派が圧倒的有利と思われていたがここにきて風向きが変わりつつある気がする。

衆議院選挙の影響

 まず、一番の要因は前回の衆院選の影響。佐野市派は、土建屋がらみの利権を狙っているのでは、と以前書いた。経済的に栃木市よりも佐野市は潤っており、佐野市編入される事で新たな公共工事受注も狙えるだろう。ただ、先の選挙で民主党が大勝し、日本中の補助金や公共事業が縮小される事がほぼ決定的な状況になっている。佐野市派の勢いも削がれるのではないだろうか。
 また、今回の選挙戦は二名で争われ、共に無所属となっているが、茂呂候補(佐野市派)の応援に佐藤勉議員(自民党)が、岩崎候補(合併反対派)の応援には山岡賢次議員(民主党)が訪れるなど、選挙は明らかに「自民党民主党」の様相を呈している。ちなみに、岩舟町が含まれる栃木4区では小選挙区導入以降初めて自民党の候補者が落選したばかりだ(佐藤議員は比例区復活)。

高校の学区問題

 今まで問題にならないのが不思議なぐらいだったが、福祉や教育を重点課題とする岩崎候補によってようやく争点になりつつあるのではないだろうか。
 現在栃木県の公立高校は学区制を取っている。学区を越えて越境通学する場合、入学試験でかなりの好成績を収めなければならない。岩舟町は現在下都賀学区。栃木市小山市を中心としていて、学校の数・学科の種類などかなり豊富な中から高校を選択する事が出来る。何よりも、県下二番目の進学校である栃木高校・栃木女子高校*1栃木市にあり、さらに商業・工業・農業高校がそれぞれ存在する。教育、という視点から見れば、佐野市よりも栃木市の方が遥に優れていると言って良いだろう。また、栃木市と岩舟町は両毛線東武線の二路線で結ばれ、高校生にとってかなり交通の便がよい。
 これが、佐野市と合併すると佐野・足利からなる安足学区となる。安足地区にも栃木高校に次ぐ進学校、足利高校が有るが、足利駅岩舟駅から両毛線で20分近くかかる。岩舟駅まで距離のある小野寺地区や静和地区に住む高校生は、DOOR TO DOORで片道一時間近くかかってしまうだろう。また両毛線は空っ風の影響を大きく受けるため、冬場はかなり遅延・運休する。
 教育に関しては、栃木市と合併するか、今のまま下都賀学区の一員として栃木市にぶら下がっていた方がいいだろう。忘れられがちだが、教育は地方自治体の最も大きな役割の一つである。

選挙は今週末

 なにはともあれ、選挙は27日日曜日。私はもう岩舟町民ではないので選挙に直接関わる事は出来ないが、故郷の一大事、刮目して待ちたい。個人的な意見は栃木市との合併または合併せずに現状維持なのだが、どうなることやら。

*1:栃木県の県立普通科は大半が男女別学。